ダーク・ファンタジー小説
- Re: 銀色に燃えるキャンドル —双眸— ( No.4 )
- 日時: 2014/03/02 10:24
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
俺は翔太
斜めから見ても後ろから見ても 翔太
横から見ても下から見ても 三つ子で楓と優希の兄 翔太。
「ヒーリング!」
遥花が呪文を唱えると、俺たちの体力が回復する。
俺らが「HP」という体力が切れると瀕死状態になるという 面倒くさい身体になったのも、
この世界に来てからというもの。
俺は追われるようになった。警察や、よくわからない異世界人に興味でも持つ狩人とか、ハンターとか、変わった人たちが。
でもそいつら、ムダに強い。なぜ俺を追うのか。
なぜだろうか。——少なくとも俺は異世界の人間だからと思うことにしている——
楓や優希の手配書と言う名のブロマイドが街中に貼られているのに 俺の手配書はひとつもない。
「また貼られてるよ」
ペンキっぽい匂いがキツイ路地の壁から、優希が自分の顔が描かれた手配書をびりびりと破いて放り投げる。
俺の手配書は やっぱりない。
「また追われたらいやだね」
路地に背を預けて、座っていた 楓が笑った。
俺は この汚そうなところに座りたくなかったけど疲れたから座ることにした。
「ちょくっと変装でもしようか」
志乃が、背負っていた紫色のリュックサックから、ヒゲとか帽子とかメガネとか 俺たちだって絶対解らないような格好にさせる。
これは前もやった変装で、街中の人が知っている格好。
街の人たちは こんな変な俺たちを、町興しのいわゆる、ゆるキャラにしか思っていない これなら 警察にも追われない。
「これで 食べ物でも盗むか」
俺たちはいわゆる泥棒だ。
でも俺の手配書は何処にも貼られない。
この国に来てから 追われているだけで 何も得してない と思うかもしれない。が、俺は「力」というものを手に入れた。
呪文を唱えれば、銃や術式で攻撃できる
俺は、呪文さえ唱えれば、手が銃になって、指先から火の粉が飛びだす。
攻撃型で、炎を支配下に置くから炎技が得意。
楓も、弓矢や槍を使うし、水を支配下に置くから、俺の炎の消火係・・ではなく、ちゃんと水を使って攻撃も可能。
志乃も変装だけじゃなく、ちゃんと エスパーというサイコキネシスというもの…超能力が使える。
そして優希は主に 防御専門だけど、風を自分の配下に置くので、周りの状況を風を使って読みとることができる優れもの。、剣も使えるし
遥花は、俺たちの回復や防御ができる上、植物を支配下に置くので、植物…雑草でも木でもが覚えている記憶を見ることができるので、この道をだれが通ったかもわかる。
何でもできる用に見えるかもしれないが こういう————追われる身—————
だと、もっと欲しい物がありすぎるのだ。
「わー!!カエデちゃんが居るう!!」
そして 今や街のマスコット状態の俺たちだが、俺は街の人にさっぱりモテない。
モテる人といえば、楓と優希と遥花と志乃 すなわち俺以外。
俺だけ、ヒゲ&ヅラの オジサンキャラなせいなのか、人があまり寄ってこなくて悲しい身分である。
だが 俺は このヒゲ&ヅラで 明日からの命をかけることを今からする。