ダーク・ファンタジー小説
- Re: ・ ・ ・ 魔術シンドローム ・ ・ ・ ( No.2 )
- 日時: 2014/03/10 21:24
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
∮ 第一章 夕闇シンドローム ∮
第一話 宵闇
かつて魔界を襲った 感染症
魔術シンドローム・・・(シンドローム=症候群)
それによって わたしだけじゃなくて 色々なたくさんの人が亡くなり、苦しんだ。
魔界だけでなく 色々な次元まで 感染した。
「ニャー・・・?」
エサを強請るネコは わたしに近づいてきた
「いいよ。今あげるから」
今では 魔術シンドローム感染者は、次元の中で数えるほどしかいない。
わたしもその一人。
そして 魔術シンドローム感染者を消すため。歴史に無かったことにするため、魔術シンドローム感染者剥奪を命じられた
そしてわたしは、シンドロームハンターや警察の指名手配を受けて、追われることになった。
「…ほら、」
わたしは、両手で抱きかかえていたプラムを、大切に芝生へ降ろし、肩に飛び乗っていたレイは自分から ひょんと飛び降りた
「ニャー!」
プラムは声を上げて、わたしの手の平から、梅の花弁を食べる。
プラムは人間界の猫さんなのだけれど、人間界の猫さんからして有毒って言われてる 梅の花弁、プラムはなぜか大丈夫で
一番の大好物だから いつも人間界から大量に持ってきた保存用 梅の花弁を、一週に一度、一食の時だけ、食べさせてやるの。
「はい、レイも食べて」
冷静で我慢強いレイは、プラムを先に食べさせてやる。
「にゃー!」
返事するようにレイも、エサに飛びついた。
プラムは2歳の猫
レイは3歳猫
どちらも、独りきりのわたしの旅ににかかせない人…じゃなくて 猫たち。
黄昏の街並がきらきらと光って見える。
そんな場所から遠く離れた森で、わたしと二匹の猫は野宿をすることに決めた。
「よいしょ…」
モルテ界に昼はない
夜明けと黄昏と真夜中がくるくると回り続ける世、死の世界
普段、魔女の血を引くわたしは、魔法が使えるのだけど、今は魔術シンドローム感染者の証ともいえる、グリムワーしか使えない。
「できた」
テントを組み立て終えると、ふたり専用のかごに入れてやる。
もう両手で一抱えのふたりの猫を かごにいれてやり、自分はテントに布団を敷いた。
寝袋は嫌いなのだ。
「そろそろ寝ようね」
ランタンの灯を消した。
まだ 黄昏時なのだけれど、今日は なんとなく。夕飯も食べずに わたしは寝ることにした。
「おやすみ」
「ニャー!」
「にゃ」
ふたりの猫も鳴いた
……命の蝋燭
ボロ布で出来た瑠璃色のワンピースのポケットから蝋燭を取り出した。
薔薇のブローチは寝る時は邪魔なので取った。
「命の、蝋燭」
最初はこれも綺麗な翼のカタチをしていたのだけど。
わたしが死ぬたびに 少しずつ欠けていくの。
わたしが死んだ瞬間、火が蝋燭に灯って
その蝋燭の火が消えた瞬間から わたしの新たな命が始まる。
わたしは今 120歳 若者の方。
いままで 数々の次元を歩んできたの。
「にゃ」
わたしが起きていることに気付いたレイがこちらを向いて、背に飛び乗った。
「……命の蝋燭よ」
命の蝋燭を持つ者の夕時の 祈りの捧げ。
「我が名は、ビアンカ・ノクターン」
命の蝋燭が、黄色に光をあげた
「*トワイライト*黄昏の神よ。泉の傍らに眠りし者よ。我が命、残りⅢの行手を阻むなかれ。日が照らす*メイト*友よ。*セイブル*黒の夜に君臨する十字軍よ *エニグマ*謎を持つ者よ。我が祈りに捧げ」
———
カタカナで「ニャー」と言っているのが「プラム」で
平仮名で「にゃー」と言っているのが「レイ」です。
すでに使い分けています。