ダーク・ファンタジー小説

Re: ・ ・ ・ 魔術シンドローム ・ ・ ・ ( No.5 )
日時: 2014/03/13 20:59
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

「ビアンカ。猫を連れる少女、…ね。わたくし、あなたをここで保護しようと考えましたのよ。でも、また、あなたと会いそうな気がしますの。だから今日保護するのはやめますわ〜」
もうひとりのビアンカは 高々に笑みを浮かべて言った

「それでは」
そのまま優雅に手を振ると、軍隊を引き連れて行ってしまう

「え!…えっとちょっと!」
色々言おうとしたが もう遅し

「にゃー?」
レイが、わたしの腕を登って肩に乗った

(…怖かった)

「さあ、行こうか」
わたしは立ち上がった。
荷物を持って、この場を離れることにしたのだ また襲われないとも限らないし、気味が悪いから

(感染症の原因となった人、ビアンカ。王女、ビアンカ。そして 自分、ビアンカ)
ビアンカと言う名前は、かつては周りに誰も居なくて珍しいんだと思っていた

でもこう重要人物がビアンカだと いくら肉親がつけた名前だとしても、なんとなく心配になる。

「……次はどこへ行こう」
お腹がすいて飢えに苦しみつつ、ふらふらとわたしは思った。

(…魔術、シンドローム)

わたしが魔女の時に感染した、症候群

友達や仲間たちは死亡したりもして、生き残っている人は居るかもしれないが 面識がある中では居ない。

魔女として普段から長生きなので 記憶力が良いように作られてはいる身体ではあるけれど 生き残りは覚えがない

(…そうだ)

このままひとりじゃ つまらないし 寂しい
今みたいなことが無いとも限らない

ピンチになった時、猫語じゃなくて モルテ語でも人間界語でも魔界語でも何でもいいから、仲間が居ると安心かもしれない


数十年の 猫二匹の一人旅

今、変わります——…!

だれか、仲間を見つけよう。


だれか 出来るといいなあ…

———————
わたしは、とある「予言者スピリットの孫」の元へ行くため、ふらふらと歩いていた。

「あのお方なら・・きっと、わたしの仲間になってくれる」
ただ、昔の記憶に思いを委ねて そう思った。

べつに失敗したときのことなんて考えなかった

「プラム、レイ」

「ニャー!」
わたしの後ろに歩いていた二匹を抱きかかえ、レイはリュックサックに、プラムは肩に飛び乗って、歩いている。

思えば、プラムは捨て猫で、わたしが拾ったわけだし、そんな旅の途中、人間界であった スピリット(予言者)に押し付けられた猫こそがレイだった。

その予言者の孫の元・・・

予言者は人間界に居るけど、孫はモルテに居ると聞いている