ダーク・ファンタジー小説

Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.19 )
日時: 2014/04/05 17:22
名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)

第5話


スウッと意識の中の白がゆっくりと引いていく。重たいまぶたをゆっくりと持ち上げると白い天井が目に映る。薬品の匂いだろうか。ゆっくり息をすうと同時に鼻の奥をツンとなにかが刺激する。世の中にはこういう匂いが好きという物好きな人もいるものだ。背中にはやわらかさもあり硬さもあるマットの感触。ベットだ。まだぼやける視界と意識の渦の中で一体私はどうしたのだろうとどうしてこんなところにいるのだろうと思考をまわす。

そして一つの結論にたどり着いた。
白い天井。薬品のツンとした鼻を刺激する匂い。ベットの上。

「びょ……ういん?」

「せーかい。」

!?!?

痛む体のことも忘れて私は勢いよく起き上がった。バサッと音がして綺麗に被せてあったであろう毛布が飛び上がる。私は声がする方向に顔をむけ、悲鳴をあげようとした。しかしそれは叫ぼうとした私の口におおきくごつごつした手が被さったので音になることはなかった。

「しーっ!今騒がれたらめんどくさいんだよ。」

「むがむが……!」


(えっえっえっえっ)

なんでコイツがここに。どうして。なんで。ほっといてって言ったじゃん。
頭が今起きている現状をドストライクに受け止めたので思考は渦を増し、ぐるぐるぐるぐると頭の中を埋め尽くした。これを世にいう混乱をいうもので。悲鳴をあげたくてもあげることができない。なぜなら今大きな手によって私の口が塞がれているから音を発することができない。それ以前になぜコイツがここにいるんだ。どうしてなんで。ああ、だめだ思考が追いつかない。混乱ってこんなにすごいことなのか。いままで冷静に生きてきたつもりなのに、そんなの微塵も関係ないじゃないか。思考が埋め尽くされていく。起きたときから半混乱状態だったといってもいい頭にこの現実は酷すぎるのではないかと思った。

「とりあえず落ち着けっ!」

「むがっ……!いっいやーー!おまわりさっ!!むごぉっ……!?」

やっとのことで開放された口。精一杯の力で声帯を揺らして助けを呼ぼうとした。しかしそれも叶わず。また私の口はおおきな手によって塞がれてしまい、音を発することができなくなってしまったのだ。今度は力いっぱい押さえつけられて、体が後ろに仰け反る。もうちょっとでベットから転げ落ちて、また真っ白な意識の中に引きずり込まれそうになった。

「落ち着けっつってんだろ……!」

「んがんが……!」

必死に手を退かそうとしても微塵も叶わない。

(こい力つよすぎっ!?)

力で叶わないとなったら後はもう全身で抵抗するしかない。必死に手足胴体をバタバタを動かし、男の拘束(口だけ)から離れようとする。しかしそれも叶わず、男は片手で私の口をおさえ、もう片方の手で私の体を押さえつけようとした。こんなところでへばって溜まるかという昔からの負けず嫌い(?)と激しい抵抗心で必死に暴れた。ベッドがギシギシと音を立てる。シーツもしわくちゃになっていった。

「ばかっ……!暴れんな!抵抗すんなっ……!」

「んぐっ…………!んがぁ!!!!」

「いってぇぇぇぇぇ!!!」

どかそうとしても無駄。抵抗しても無駄。ならばと思い、最後の力をふりしぼって私は自分の口を塞いでいる男の手に勢いよくかじりついた。カブッと嫌な音がして男は悲鳴を上げながら私から離れる。口をずっとふさがれていたため十分な呼吸ができなかった。なので口が開放された時に一気に期間に入ってくる空気に一瞬むせ返ってしまった。男は物凄い脚力で私のいるベッドから距離をとる(半ジャンプ)。そのあと私の口を塞いでいた手をさすりながら「いてぇ」だのなんだのほざいていたがそんなことは今関係ない。むせ返りながらも私は男を睨み付けた。

「いってぇな!おい!なにしやがる!」

「あんたこそなんでここにいんのよ!?」

目の前で赤い歯形の残った手をさすりながら怒鳴りつけてくる男は、そう昨日、襲われていた私を助けてくれたあの男……いや殺人鬼である。今見ればかなり高身長でイケメンだが、そんなことはどうでもいい。現に私は今、男から口をふさがれるという襲撃をうけたのだから。

「なんでって……んなの決まってんだろ。昨日お前倒れたから、
わざわざこの病院までこの俺が運んでやったんだろが!」

「え……?」

「んで目が覚めるまで俺がいてやったというのに……目が覚めた瞬間悲鳴上げようとするし、口塞いだら抵抗してその上噛むし!助けてやった奴になんつー態度をとるんだお前は!!」

確かに私は昨日、この男に助けてもらった。助けてもらったというよりこの男が一方的に私を襲っていた奴を殺したということだけなのだが……

「そっか……。私倒れちゃったんだ。」

「そーだよ。やっと思い出したか。」

男は鼻をフンとならし、やれやれといった態度でベッドの横にあるイスにドガッとすわりこんだ。

目の前で殺人が犯され、何が何だかわからない私はそのままあの場所で意識を失ったのだ。そして今男が言ったとおりの話のながれになる。でもそれだと一つだけ納得いかない。

「どうして……」

「あ゛?」

「どうして私を助けたの?」

男を向かい合うようにベッドの上で正座し、男と顔をあわせる。男は一瞬キョトンとした顔になったが、すぐに人を嘲笑うような顔をし、「なんでってそりゃ……」


















「契約者だし?」