ダーク・ファンタジー小説

Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.25 )
日時: 2015/06/22 22:22
名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)

第6話(梓目線)

契約者を探すために地上に降りる。
黒夜がそんな突飛なことを言い出したのは数日前のことだ。最初は何を言っているのかわからなかった。地上に降りる?人間どもしかいないあの地上に?何回聞き返しても答えは同じで。いくらこの世界に契約者という名の適正者が少なくなってきたとしても、何の力もない魔力も使えない。特殊能力もない。無力な人間を契約者として扱おうとするのは軽く言って無望である。少なくとも何百年前からそう言い継がれてきた。だから黒夜の言ってることがわからなくて。必死に止めてと止めても黒夜は聞く耳を持たなくて。無力な人間に力を注いだって無駄だし、なによりそんな黒夜に振り回される人間の身を考えてほしいのだ。ただでさえでも黒夜には普通の悪魔を倒せるほどの莫大な魔力がある。そんな魔力をあんな小さい人間に注いだらいったいどうなるかわからない。もしかしたら魔力に身体が耐え切れず死に至ってしまうケースもあるかもしれないのだ。どれだけ説得しても黒夜は一言「俺はなんとしてでも契約者を見つける。」としか言わず、結局地上へ降りていってしまった。

「まったく……黒夜の我儘もいいところね!でも……」

(よかったじゃない。あんな可愛い子を契約者にできて。あの子にとったらとんだとばっちりだけど。それに……)

「あの子……わずかに血約力を感じる……。」

血約力。それはいわば悪魔と契約しやすい血をもっている者の力のことを言う。彼女からはそれをわずかに感じることが出来る。
そう、彼女、蘭山 美紀は悪魔との契約者に適している人種なのだ。黒夜もそれを自然に感じ取って彼女と契約したのかもしれない。最初はとても驚いた。この世界にこんな少女がいたのかと。だいたいこの血約力をもつ人……血約者は私達が住む異世界のみ生息する人種だった。それが今、どういう成り行きでこうなってしまったのかわからないが地上に「美紀」というなの血約力をもつ血約者がいる。もしかしたら他にもいるのかもしれないが、私は彼女が血約力を持っていると知ったとたん驚いたのは少なからず間違いないのである。

「彼女……美紀ちゃんについて調べたほうがよさそうね。でもその前に契約者を見つけないと……。」

私も黒夜の事が心配でついてきたとはいえ、契約者を探さなくてはいけない。悪魔は契約者無しでは生きていけないのだ。地上にいる血約者が彼女一人とは断定できない。あくまで、だが。

(もし彼女一人だけだったら……大惨事が起きるわね……)

今この世に存在する悪魔は私と黒夜だけではない。黒夜と同じようにこの世界に契約者を探しにきている悪魔達も少なからずいるし、なにより異世界は悪魔達でいっぱいだ。

(昔は悪魔と血約者達のバランスとれてたのになぁ……)

なぜかこの数百年(悪魔達でいったら数年だが)、血約者たちが急減しているのだ。いや、急減しているというより、血約者達がとある研究のせいで血約者ではないものに『造りかえられている』といったほうが正しいだろう。しかもかなりおかしい方向に。血約力を持たない人々が増えていきとうとうほとんどの悪魔達が契約者を見つけることができなくなった。いくらほぼ不老不死の悪魔達とはいえ先ほどいったように契約者無しでは生きていけない。契約が出来なかった悪魔達はみな朽ちていき、最後には魔力をなくし死んでしまう。今、そんなことが異世界で起こっているのだ。それを救うために今、私達は地上に降り契約者を探している。そんな中、減りに減ってほぼいないといっても同然な血約力を持つ少女が地上にいたらどうなるだろう。契約者をすでに見つけている悪魔達はいいとして、今現在この地上で契約者を探している奴らは彼女を契約者にしようと奪い合い争いが起きるだろう。みんな生きていたいのだ。

「だから……黒夜が契約したのは正解といってもいいかもしれないわね。」

早めに黒夜が契約しておいてよかった。
別に血約者じゃなくても契約はできるのだが、血約力がないものは悪魔の魔力に耐久性がないのでいざというときに一度に大量の魔力をそそぐと身体が耐え切れず死に至ってしまう。しかし、血約力を持つものは違う。血約者は悪魔と契約するために生まれてきたといっても過言ではない。ので悪魔の魔力を大量にそそいでもある程度我慢できるのだ。すくなくとも血約力がない者よりは。悪魔も契約するならするでやはり魔力に耐久があるほうが自分的にも楽なのだろう。

「でもなぁ〜……。黒夜の場合だとどうなるのだか……。
とりあえず、今はごちゃごちゃ言ってる暇はないわね。私も早く契約者をみつけだして『あいつら』を倒さないと……。」

美紀ちゃんや他の契約者達にはわるいけど、今は異世界が大変なことになってるから助けてもらわないといけない。そのために私達は地上におりてきた。

私達の世界で生き残るために。