ダーク・ファンタジー小説

Re: ぼくらときみのさいしゅうせんそう ( No.8 )
日時: 2016/05/21 16:04
名前: 利府(リフ) (ID: L7bcLqD7)

「職員室の場所聞くの忘れた…」

途方に暮れて廊下を歩く。あのセンパイは優しそうだったから、一時は助かったと思ったのだが。
また聞きに行くのも癪だろう。あと30分で集会、それまでにミコトを見つけなければ。

「…あれ、タケル?もう帰るの?」
「!」

職員室から丁度出てきたところらしく、ミコトの隣には教師らしき男。
叱られていたと思ったのだが、やはりそんなことも全く気にしていないようだ。
こういうところは寧ろ怒りを通り越して尊敬してしまう。
教師の目は俺に向けられ、怒りの声が飛んできた。

「君、知り合いか?早く戻りなさい。外の者は立ち入り禁止だ」

「いや…んっと。

 今日転校してきました、トヤマタケルとトヤマミコト。姉弟です」


姿勢を整えて作り物の敬語で接し、俺はここにいる理由を述べた。
もちろん目を丸くする教師。まぁ、見た目が似ていても俺ら中身は特に似てないしな。
姉弟と言われるまで、気付かれないことも多々ある。
だからこそ姉弟、という肩書まで欠かさずに言ってやったのだ。

「んじゃ、姉貴。とりあえず手続きだけでも、済ませといてくれ。
 俺は家帰ってる」

軽く手を振って、下へ行く階段へと進んでいく。
ミコトに色々と問い質す教師の声を聞いて苛立ちが隠せなかったが、さてどうしようか。
まぁ、いいか。

あんな弱弱しい大人に、興味はない。

*****


「手続き…?」

タケルが言うだけ言って去った後、私は頭を抱えたくなるほど馬鹿らしい教師の相手をしていた。
入学手続きとでも考えるかと思っていたが、その更に下。何にも分かってないじゃないか。

「あぁ。あいつはもう、特別なことがない限り学校には来ません。
 特例としてテストを自宅で受け、その点数で通知表の評価をする。
 それが、もう決まってるんで。おわかり?」

不登校。
教師が嫌うそれは、まぁしょうがないと言えばしょうがない理由さえあればまだいい。
彼の理由は、こいつに教えるに値しない。

「例外さえなければ、もうあいつに会うことはないですよ」

だって例外は、もう近いのだ。