ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End ( No.15 )
日時: 2014/10/01 16:22
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

EpisodeⅧ

嫉妬ってわかるかな。
心の中がもやもやする奴。
誰もが持っている心の一部。

それは好きな人ができたときに現れる気持ちなんだよ。
でもね、初恋の人は知らないみたい——


今日は泣かないよう頑張らなきゃ。
その通りだ。
先生に抱き付かないように、先生を困らせないように。

「美、美、美濃君っ」

先を歩いていた美濃君に後ろから声を掛ける。

「何?」

なんかいつもと違う……。
声が低いのかな……。

「えと、その……」
話しかけるのがちょっと久しぶりなため、おどおどしてしまう。

「早くして。俺、忙しいんだけど」

え……、冷たい……。
前まではそんなこと、言わなかったのに。
前の美濃君では考えられない発言だった。

「あ……ごめん……っ」

冷たい視線に私は耐えられずうつむいてしまう。

「用件がないなら俺、先に行くから」
と言って私に背を向く。

「……っ」
うんとしか頷けなかった。

「渚ー!」

誰かが私の横を駆け抜けていった。
私は顔を上げて誰かが向かった先を無意識に見る。



驚愕した。



だってそれは恋人のように抱き合う悠と美濃君だったから。