ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End ≪参照180突破!≫ ( No.20 )
日時: 2014/10/13 11:24
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

EpisodeXI

私は誓ったのだ。

天国の悠斗さんに、家族に、自分に、そしてこれから出会う恋人になる人に。

だから、この誓いは破れない。


破ってはいけないもの。

私は頑張ってこれを守り続ける——



私はね、もう誰ともかかわらない。

……違う。

傷つきたくなかったの、あの事件の時みたいに。

一人になりたくなかった。

あの幸せと幸せなこととは反対に苦しみ。

味わいたくなかった。

だからひそかに穏やかに過ごしていたのだ。

自分の……違う。

悠斗さんと二人で達成するはずだった目標を一人でこなしてた。


悠斗さん。


私はね、あなたがいないだけでどんなに壊れちゃったと思いますか。

どんなに苦しんだと思いますか。


あなたが、あなたさえ、あの幸せな……幸福感を教えてくださらなければ……私はこんなに苦しんでない……っ。


そうよ、悠斗さんと出会わなければ……っ。


こんなことも思った。


だけど、やっぱり好きな人を憎めないの。


好きってそういうことなんだと改めて思い知らされた。


でも年が重なるにつれて悠斗さんの顔や声……がどんどん消えていくの。


怖かった。


こんなことさえ、消えて行ってしまうなんて。

そんなの絶対、いやよ。


悠斗さんしか私の心を動かせないの。


悠斗さんがすべてなの。


それを私から奪うなんて神様なんて……。


ひどいわ、ひどい。

悠斗さんの身で我慢してよ。

記憶は奪わないで。

悠斗さん、どこにも行かないでっ。

私のそばに私の頭に心にいてよ。


最後の頼みよ。


「美波さん……?」

慎吾先生……。

悠斗さんによく似た人。

私の兄みたいな存在でこの世で一番愛した悠斗さん。

そして優しくてあたたかいこのぬくもりをもう一度、思い出させてくれた慎吾先生。

とても似てる……。

「慎吾先生……」