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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ≪10/25 更新≫ ( No.25 )
- 日時: 2014/10/30 23:28
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeⅩⅢ
「慎吾さん……」
私の手を引っ張りながら前を早歩きしている先生。
それが、私の呼ぶ声で立ち止まった。
「……」
「なんであんなこと……」
全部言い切る前に先に答えられてしまう。
「分からない?俺は美波の事が好きなんだ。恋愛感情が君にあるんだよ」
「でも先生と生徒です。そんなことはあってはならないことなんです」
分かっていらっしゃいますか。
私はぽつりとそうつぶやいた。
「でも俺はあきらめられない。君が大学卒業まで俺は待つ」
いくらでも待ってやる……。
先生は、今にも消えそうな声で言った。
「先生にはきっと私よりいい人が見つかります」
その言葉に先生は激変した。
「君だって了承したじゃないかっ。君も俺が好きだと言った」
くるりとこちらに目を向けてきた。
「そんなことは言っていません」
「美波、嘘だと言え。今なら許してやるよ」
「先生」
間違いだったのかもしれない。
先生をまず、下の名前で呼んでしまったときから。
抱き合ってしまったときからもうすでに先生を勘違いさせてしまったのかもしれない。
でももう後には引き返せない。
一回、こじれたものは直すことができないのだ。
「俺はいつまでも美波を待っているから。だから美波も俺を好きになれ」
命令するように言った。
「せ……んふ」
口を彼の手でふさがれてしまった。
「黙れ。言うことが聞けない子には、お仕置きが必要だ」
こっちだと言って私は先生の家に連れていかれた。
今になって分かったの。
前に悠斗さんが、大人の男には気を付けろって。
私は車内で恐怖でいっぱいだった。
図々しいと思う。
私は、誰かに助けてほしいって思ってしまった。
自分が蒔いた種なのに。
でもお願い。
『だれか……たすけて……』
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