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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.27 )
- 日時: 2014/11/29 22:43
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeⅩⅤ
ドクドクと心臓音が体に響いている。
緊張?
恐怖……?
そうだ。
私は、この状況に恐怖を感じている。
怖いのだ。一人だから。
一人という環境に慣れていたはずの私だと思っていたのは間違っていたのだ。
先生にこの部屋にいろと命じられて一週間がたとうとしている。
私から恐怖、緊張感がさろうとしない。
「……だ……れかぁ……っ」
叫ぼうとしても声がかすれて大きな声が出ない。
ずっと助けを求めている。
もう……のどが渇ききっていて苦しい。
「……」
そしてまた音にもならない涙が滴った気がした。
もう涙すら流せない。
体から水分が抜けているのだ。
これ以上は、つらい。
先生、早く……。
もう誰でもいいから私に食事と水分を与えてほしい。
先生は、私をこの真っ白な部屋に置き去りにしてどこかにいってしまった。
真っ白な部屋には小さな窓がポツリとあるだけで、あとは、部屋と同色のベットしかない。
生活感のない不思議な空間。
見ているだけで洗脳されそうだ。
「はぁあっ、はぁあっ」
呼吸が過呼吸になる。
限界が近づいてきた。
突如、私の頭の中に見えたのは、”悠斗さん”だった。
「……っ」
声にならない声で彼を呼ぶ。
微笑みが私に向けられる。
私は、
このまま、悠斗さんのいる天国にいけばいいと思い始めた。
一刻も早くこの状況から抜け出したい。
もうつらい試練……この場所は嫌だ。
嫌いだ。
私も人間だ。
欲望のままに行きたい。
自分の欲望を押し殺して生きれる人なんているのだろうか。
私は人間としての限界を悟った。
もう死が来たのだと。
私は、悠斗さんがさわやかに笑いながらこちらに手を差し伸べてくれたのを見届けた瞬間、気を失った。
悠斗さん、
来てくれたんだね——
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