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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.28 )
- 日時: 2014/12/05 23:14
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeⅩⅥ
「先生ッ」
俺は、あれから三日たったその日の放課後、羽鳥先生を引き留めた。
引き留めた理由は、
「木野川はなんで休んでいるんですか」
そうこれだった。
さすがに三日たっても学校に来ないのは不自然。
毎日、元気よく無欠席無遅刻で登校していた木野川だから学校を休むということは何かあったに違いない。
「なぜ、俺に聞く?」
羽鳥先生はいつもと違った雰囲気で声も低かった。
だって木野川は先生とあのあと、どこかに行ってしまった。
だからきっと行方を知っていると思ったから。
そして……。
「担任に聞けばいいことだろう」
ふんっと鼻で笑ってバカにしたような顔をしている。
「それは……、先生が木野川のことを一番知っているだろうと思ったからです」
先生に聞いた一番の理由は、正しくこれだった。
悔しいが、木野川と一番かかわりがあったのは紛れもなく羽鳥先生だった。
「そうだな。あいつのことは俺が一番わかってる。そして今、どこにいるのかも、君が察した通り、俺が知っている」
腕を組みながらいう。
やっぱり。
俺の読みは正しかった。
「じゃあ……教えてくださいよ」
頼むのはいやであったが、仕方のないことだ。
「無理だ、君には」
「俺にはなんでだめなんですか」
そうだ。なぜだめなのだ。
「教えたら助けに行くだろうからな。というよりも独占したいからだ」
なるほど。
合点が行った。
「じゃあ、勝負しませんか」
「勝負……?」
勝負の内容は、
先生が俺に勝ったら、俺はもう木野川とはかかわらない。
俺が先生に勝ったら、先生は彼女がどこにいるのかを教え、かかわらない。
そして勝負方法は、バスケの一対一の対戦。
「わかった。やろうではないか」
先生は勝負に乗った。
——
そして勝った……”俺”が彼女を助けに来た——
「……っ」
彼女を俺は強く強く抱きしめた。
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