ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.32 )
- 日時: 2015/03/24 13:44
- 名前: 音宮 (ID: laaGvqHD)
告白って勇気がいるよね。
それに至るまで自分の気持ちと向き合わなきゃいけないし。
自分の気持ちに気付かなければ、その人との恋愛は始まったとは言えない。
そして今、私は、その気持ちを自分の口からちゃんと言っている。
こんなこと、初めて。
目の前にいる彼に告げる一言一言に自分の胸がきゅんと高鳴ってもう、破裂しちゃいそうだよ。
きっとこの鼓動は聞こえているんじゃないか。
そう、疑ってしまう。
「今までいろんなこと、あったけど、私は美濃君が好きなんだって気づいたんだ。だから付き合ってください」
考えておいた告白のセリフとは全く違うけど、彼に伝わったと思う。
精一杯、伝えたんだ。
この気持ち、たくさん、温めて育ててきたんだ。
もう駄目だって思ったこともある。
気づいちゃいけないって思ったり、嫉妬したり。
ほんと、自分の気持ちがころころと変わって……。
面白いくらいにその人のことでいっぱいになった。
ああ、本当に好きなんだって。
全く知らない初めての気持ちをくれたのは、君なんだよ。
君が教えてくれたんだよ。
私にとって君は特別なんだよ。
「……それ、本当?」
美濃君は驚いたように言った。
疑っているのかもしれない。
だって私はそんな風に接していなかったから、それとも……。
「……」
コクッと大きくうなずくと、見る見るうちに彼の顔は、明るくなっていった。
「俺も……好きだよ、木野川のこと」
そういうと抱き付いてきた。
え……。
一体、何を言われたか、分からなかった。
「な……何?」
彼を見上げて言う。
「だから好きだって」
嘘。
私の想いは届いたの?
大好きな美濃君に伝わったの。
信じられない気持ちとあったかい気持ちが入り混じって、よくわからない。だけどそれよりも嬉しい気持ちの方が大きくて。
私達は、やっと一つにまとまったんだ。
それから一か月後。
美濃君の元彼女となってしまった悠ちゃんは激怒していたが、本当はすごく悲しいんだと思う。
私だってその思いを味わったことがあるから。
「ごめん、悠」
美濃君は謝った。
それが救われたのかも知れない。
美濃君は自分の気持ちに嘘をついていたからと言っていた。
本当は悠ちゃんと付き合っていた時、ものすごく辛かったって語っていた。
多分、悠ちゃんをだましていたと思ったんだろう。
悠ちゃんにとっては、この恋愛はバットエンドだけれども、私と美濃君は、ハッピーエンドになった。
「美波」
屋上で二人でご飯を食べようとして屋上に向かっていたら、先生に呼ばれた。
「慎吾さ……じゃなくて羽鳥先生」
「やっと付き合うんだな」
笑って言った。その笑顔はどこか、悲しそうで嬉しそうでもあった。
「ええ。先生にはいろいろとお世話になりました」
美濃君が、私を庇うように前に立っていう。
「ああ。君たちがうまくいくことを願っているよ。では」
何を言いたかったのだろう。
それだけを言うと、来た道を戻っていった。
「先生、俺たちの様子を見に来たんだね」
そうなんだ。
先生も心配してくれたってことかな。
私の事を一番、心配していたから。
「俺たち、幸せになろーな」
美濃君が大きく笑って言ったことに私は大きく頷いたのだった。
—— HAPPY END ——