ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.36 )
- 日時: 2015/04/01 10:35
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第一番
私、美濃千波、十六歳で高校一年生。
家族は、パパのみ。
十五年前に、ママが殺されて、私の双子の妹、千夏がいなくなった。
パパは、まだ会社に勤めて、私を養っている。
一見、あまり変わってないように見える私達だけれども、パパと私はずいぶんと変わった。
まず、あの事件のことは禁句……といっても私は全く知らないのだけれども。
「千波ー」
パパが一階から私を呼んでいる。いけない、今日はママの命日なのに、こうもぼっとしてては。
「はぁい」
下まで聞こえるように大きく返事をして、鏡の前に立ち、身だしなみチェック。
「……」
パパによると、私とママはよく似ているんだって。
黒い長い髪だとか、真っ黒い二重の瞳とか、身長などなど。
性格なんてママにそっくりらしい。
一つの事に一生懸命なところとかね……。
きっと、双子である千夏もこんな容姿をしているんだろうなぁ。
軽く考えながらパパのもとへ急いで向かう。
「うん、ばっちりだぞ、千波」
私の頭を笑ってなでてくれた。
「ありがとう、パパ。早く行こうよ、明るいうちに」
「ああ、そうだな」
車で北へ十分ほど走ると、ママと千夏のお墓がある。
千夏は、ここ何年、見つからないので死亡ということになっている。
「あ……」
お墓の駐車場に着くと、そこには一つの家族がいて。
車も、その家族みんな黒い服を着ていた。
中でも気になったのが、私と同じくらいの背の女の子。
黒くて長いワンピースでそれはロリゴシックをイメージした感じ。
そして、顔の前にレースのような布を小さな帽子から垂らしており、顔が見えないようになっていた。
「きっと誰かのお墓詣りだね」
とパパは言っていたけれど、私は彼女たちがすごく気になった。
なぜか、彼女たちに惹かれてしまっていた。
「……そうかな」
疑問に思いつつも、パパが早く行こうと促してくるのでそれ以上は、詮索しなかった。
そのあと、毎年のようにママに今年の抱負などを伝えた後、ママが大好きだったハヤシカレーを食べて家に帰った。
今日のこの出会いが後からとても大変な混乱と事件を起こすなんて私たちは何も知らなかった。