ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.38 )
日時: 2015/04/08 09:34
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)

第三番

ひらひらと舞い散る桜の花びらと共に、私は入学式を迎えました。

「千波、いい天気に恵まれてよかったな」

ふふっと楽しそうに笑う私の父、渚。カメラを持ち、先ほどからパシャパシャと私を撮っています。

「うん、そうだね、パパ」

ちなみに入学式一週間前は、私と千夏の誕生日なの。だから私は16歳になったばっか。

「千夏もいればな……」

肩を落として言う姿は、今にも泣きそうだった。

「そう……だね」

千夏……も今日、入学式だったんだよね、きっと。
私と同じ制服を着て、私とほとんど一緒の顔で楽しく迎えられたのかも。


「……あ、ごめんなっ。しんみりさせちゃって」

頭をかいて笑うパパだけれども内心、すごく辛いんだと思う。
本当ならママと千夏がここにいるから。ママの事がすごく好きだしね。


「別にいいよ。本当の事だもんね。私は千夏とママのためにも頑張るから
ちゃんと見ててよね」


そうだ。ママの分も千夏の分も私は、生きなければいけない。
生きることを楽しまなければいけない。

 千の波のように強くたくましくいきるそれが千波……私なんだから。
それに美波の波から私はつけられてもいるし、きっと私の背中にはママがいるはず。だから寂しくないよ、パパ。