ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.39 )
日時: 2015/04/27 06:15
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)

第四番

「真琴」

ふとお父様が声を掛けてきた。

「なんでしょう、お父様」

部屋で勉強をしていた私はくるりと椅子を回してお父様に向き直る。

「お前は、明日からこの学園に通うことになったからな」

一枚の紙と言葉を私にくれた。

「はぁ……、分かりました」

突然のことで全く理解できなかったが、お父様はそれだけ言うと、部屋から出て行ってしまう。


「お父様……っ」

何の説明もなく、行かないでほしいと思いながら部屋から出て行ってしまったお父様の後ろ姿を見つめて、追いかけることができない私。

『お父様の命令は絶対よ』

あの日、買われた、この家にきたときにお母様から言われた言葉。
それは今でも鮮明に覚えている。

たとえ、どんなにその命令は残酷であったとしても、私は命令に従わなければいけない。

「……」

だから今回の命令も聞き入れなければならない。
私は、もらった紙を見つめる。

『我妻学園』

ここってお父様が設計、設立した学園で確か、お母様が理事長をなさっている学園だったはず。
あとで兄に聞いてみると、兄も行くことになったらしい。


「そうなんだ」

ありがとうと言って、兄を見る。

「そう。俺と真琴はまた、一位の成績をとらなければならない」

また……、成績の話。
兄と私は成績の話しかしたことがない。競い合ってきたライバルで、二人で守ってきた一位の座。

「分かっているわ。そのくらい」

頷いて笑う。


「今度は一度も譲らないからな」

ふっと笑って覚悟しろっと私に言う。

「わたくしだって負けないわ」

お互いに笑いながら気持ちの良い宣言をした。