ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End 【4/26 更新】 ( No.40 )
日時: 2015/05/01 19:25
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)

第五番

「増田薫…、萬田海…」

入学式。一人ずつ、点呼されて返事をしていく。
次は私だ。

「美濃…千波」

ドキッとしてそれから反射的に返事をする。

「はいっ」

たったそれだけだけれども、とても緊張して、特別な時間に思えて。
私の後に何十人か呼ばれた後、それは終わる。

「新入生代表、我妻真琴」

そうだ、次は新入生代表挨拶だっけ。
どんな子がするのかな。代表ってことは、きっと入学試験で一番の成績か、理事長の娘なんだろう。
噂によると、毎年、そうなるそうだから。
この子は、たぶん、苗字に我妻が付いているから、我妻家の人だとわかる。

気になったので、ひょいっと少し、背伸びしている。

「……ぁ」

あの子……。この前、お墓の時に見かけた子だ。
すごくきれいな子。ベールのようなもので顔を隠されていたからこの間は分からなかったけれども、すごくきれいな顔立ちをした子なんだ。

綺麗な深緑の二重の瞳、黒髪で腰の近くまである長さだけれども、ちゃんと手入れが届いていることが一目でわかるほどに、つややかな髪だった。

「桜の散る……」

そして澄んだ声で淡々と誓いの言葉を述べる姿は、天使のようにもちろん、綺麗だった。