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ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End 【5/1 更新】 ( No.43 )
- 日時: 2015/09/27 17:47
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: KLpo2fZJ)
第八番
「真琴。今日の生徒代表の言葉、なかなかの立派なものだったぞ」
そう重たい口を開いたお父様が珍しくほめてくださいました。
片手に書物を見ながらということが恥ずかしさを紛らわすものだということぐらい、私にはわかっていた。
「ありがとうございます、お父様」
「これからもしっかりと、意思を持って学業に励むのだぞ」
滅多に笑わない人は少しだけ口角をあげて笑ったようにも見えた。
その精一杯の応援に私は元気をもらい、お父様の部屋を後にする。
はなしの内容を聞いていたのか、兄がドアの横で待ち伏せしているかのように立っていた。
「呼ばれたって言うから真琴、怒られているんじゃないかって思ってさ」
目をそらしてそういう君は、心配してくれたということが分かったよ。
「ありがとう。心配してくれたんだね」
率直に礼をのべると、照れを隠すように頭をかいて自室に戻っていってしまう。
「……」
一見、不愛想にもみえるが、あれでも精一杯の優しさとかそういうのがあるから……私にはどうしても可愛く思えてしまう。
「……明日から学校ね、また失敗はしないといいのだけれど」
初日が肝心ね。第一印象は強く影響するわ、愛想良くして、友達を作らないと。
「……だけど、それでいいのかしら?」
なんだか最近、その”愛想”というのが、繕いに感じてしまってどうもやりたくなくなってしまう。
本当の自分をさらけだして受け入れてくれた人が……本当の友達というものではないのかしら。
そう思いながらすとんとベットに腰かけた。
「……現実は甘くはないわよね……」
そんな人、いるわけないと思いたくても心の中でどこか、期待してしまっている自分がまたいた——
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