ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.6 )
- 日時: 2014/09/19 01:34
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeI
私、木野川美波はあの日、誓ったときから人のためにいつでも行動してきた。
でも人間はやっぱり自分のことが一番。
——自分さえ、良ければいい。
——めんどくさいことは嫌だ。
そんなことを考えている奴らがほとんど。
正直、一人くらいは、自分を手伝ってくれる奴がいるだろうと思ってた。
でもそれは違ったみたい。
私は、このことにいち早く気付いた。
どんなに私が人のためにみんなのために行動していても誰も誰からもそのお礼はかえってこない。
私は人間というものに失望している。
自分も人間であるが、ここまでひどい物なのかと。
まったくもって信じられない。
「はぁ……」
私はため息をつきながら今日もまた、人のためにみんなのために学校の清掃活動を一人ぽつりとやっている。
掃いても掃いても出てくる落ち葉。
これはまるで溜息のようだ。
そんなことを考えながら完全下校の時間まで清掃を黙々とやっている。
そんな時——
「いつもありがとう!!」
と誰かが近づいて私に爽やか笑顔を見せながら言ってきた。
びっくりしてもう一度、その人の顔を見る。
その人はこの間、私のクラスに転校してきた美濃渚であった。
彼は黒髪のくせっ毛、黒い瞳で小麦色の肌をもった身長176㎝というスポーツ系男子。
そして人柄もよく明るくて優しいので女子からの人気が高い男子だ。
「美濃君……」
「それだけ。じゃあ」
手を振りながら去って行った。
——ありがとう。
そんなこと、言われたのは、初めてだった。
だからなのか、私の耳には彼のその言葉がまだ鮮明に残ってる。
この言葉を聞いた時、やっててよかった、今までこんなにも頑張っててよかった。
そんな気持ちになった。
だから気を取り直して——
「頑張らないとなっ」
私は自分を励まして残り数十分の清掃活動に一生懸命取り組んだ。
清掃活動が終わっても家に帰ってもいつまでたっても彼の言葉は私の耳から消えることはなかった。