ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.7 )
- 日時: 2014/09/20 16:48
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeⅡ
あれからというもの、私は美濃君が気になってしょうがない。
誰かが「美濃君!」と言っただけでもそっちのほうを見てしまう。
ただ名前を呼んでいただけなのに。
美濃君がどういう人なのか、どんな友達がいるのだろうか。
そんなことばかり、ここ最近は考えている。
なんか関わることないかとまで考えてしまっている私はおかしいだろうか。
「はぁ……」
溜息をつきながら今日は先生が来るまでに廊下の雑巾がけ。
これは当番制なのであるが、なぜか毎日、私ということになってしまった。
でもそのことに気付かない先生も先生である。
ある人曰く、れっきとしたいじめではないかという。
でも私は、いじめられていてもまったくそんなことには気づいていないというよりも動じない。
そんな私がみんな、憎たらしいのか、やじを飛ばす。
「ったく」
そんな光景を他人事のように見ながら私は雑巾がけを続ける。
無反応な私、故にみんなは数分それを続けただけですぐに自分たちの会話へと戻っていくのがいつものことである。
「大丈夫かい?」
そんなことを言ってきた美濃君。
右手には雑巾。
手伝ってくれるのだろうか。
なんて優しい人なのであろう。
「あ、はい……。大丈夫です」
つい涙ぐんでしまった。
だって今までそんな人いなかったから。
でも美濃君はやじとかこういうことをやらされているのに涙ぐんでしまっているんだと勘違いしているらしく、
「僕もやるから。もう泣かないで、大丈夫」
まぁ、そういわれて嬉しくないなんて人はいないと思う。
私も実際にちょっと嬉しかったり。
「はい……」
小麦色の大きな左手が私の頭をなでる。
その手は温かい。
私の心まで温めてくれているようだった。
なんて心地の良い……。
「じゃあ、続けよっか」
といって頭をなでるのやめる。
それにちょっと惜しい気持ちがあったが、自分の仕事はきちんとやらないとなと思い、雑巾がけに戻る。
黙々とその後、十分間続けてその日の当番の仕事を終えた。