ダーク・ファンタジー小説

Re: Happy End と Bad End ( No.8 )
日時: 2014/09/21 17:08
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

EpisodeⅢ

人間はめんどくさい、目立つことが嫌いだ。

——私はやりたくない。

——目立つから嫌。

——目立つといじめられたりするから。

人間は人と同じことをするのがどうやら好きらしい。

だから今日の先生の提案というかあれにも。

雑巾がけを手伝ってくれた美濃君にちゃんとお礼を言った後、すぐに担任がやってきた。

担任は臆病な女教師。
だから生徒、つまりクラスメイトがいじめられたりしていても無視するタイプ。
だって臆病だから学生相手でもつよく言えないから。
それに自分の性格、いい先生、かわいい先生というイメージを壊したくないからそういうことに目をつぶっているのだろうか。

「きょ、今日はですね…、体育祭実行委員を決めないといけないんですよ…」

弱弱しくホームルームで切り出した言葉。

「ええー。めんどくさいー。それって他のクラスでやればいいんじゃないですか!?」

クラスの中心にいる女の子がいう。
こんなことを言われたらあの先生はどんどん声が小さくなってしまうだろう。

「ご、ごめんね。今回はうちのクラスからも……」

ほら、ね。
言ったとおり。

「誰かやってくれないかな?」

生徒の表情をうかがいながらいう。
その目はまるでどこかの上司を見るみたいに弱弱しい。

しょうがないな。
今回も私がやってあげよう。

ピシッと手を挙げる。

「誰もやらないんでしたら私がやりますよ」

みんなが笑顔を見せる。
拍手をしている。

「じゃあ、俺もやります。木野川だけじゃ、かわいいそうなので」

そんな中、またしても美濃君が手を挙げて言った。
ぎょっとして美濃君をみる。
みんなも同じくそうしてしまう。

「あら、これで安心だね」

嬉しそうに先生はいった。

「はい。精一杯、頑張ります」

「お、同じく」

まだ驚きを隠せないまま、そのホームルームは終了した。

とりあえず、同じ委員になったことだし、挨拶とかしたほうがいいよね。

「あ、あの……」

美濃君の席にいく。
私と美濃君の席は結構、離れている。
私は廊下側の席だが、美濃君は窓側の方の席。

「ああ、木野川。よろしくな」

笑顔を見せた。
とても素敵な爽やか笑顔。
光に反射して歯まで光ってしまっている。

「えっと……なんで一緒にやってくれるのですか?」

その笑顔に少しときめきながら疑問を口にする。

「んー。おもしろそうだし、木野川が大変そうだったから」

なんていい人なのだろう。
世の中にはこんなに明るくていい人がいるんだな。
ちょっと感動しながらそっか、ありがとうございますとお礼を述べる。

「てか、なぜ敬語なの?」

「えっと……その方がいいのかなっと」

えー。敬語はなんか堅苦しいとか言って笑ってる。
私はその笑顔につられて笑ってしまった。
ちょっとだけの幸せを感じた気がする。

人と笑ったり話したりすることってこんなに楽しいことなんだ——