ダーク・ファンタジー小説
- Re: Happy End と Bad End ( No.9 )
- 日時: 2014/09/22 16:49
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
EpisodeⅣ
人間の感情っていろいろあると思う。
怒りに悲しみ、喜び、楽しい、好き、嫌い、嫉妬、罪悪感……。
基本的には喜怒哀楽で作られていてその感情にあった表情を人間はする。
その中でも一番つらいのが悲しみ。
なぜって。
それはだね……。
今日の午後から体育祭実行委員会が始まる。
全学年から集められた人たちの会が、ね。
実行委員会の監視役の先生は羽鳥慎吾先生。
一年前くらいにここに来た新しい先生だ。
優しくてかっこいい先生。
なおかつ、ちゃんと怒ったりしてくれる、生徒と向き合ってくれる先生。
どこをとっても素晴らしい先生だ。
「えー、今回、この委員会の担当職員になりました、羽鳥だ。よろしく」
先生がさっと自己紹介が終わらせた後、次は私たちの自己紹介になった。
自己紹介——
それで第一印象が決定されるとても大切な行事。
だから私は少しでも印象をよくしようと頑張る。
一人一人が短い自己紹介で終わる為、まわってくるのが早い。
もう美濃君だ。
「初めまして。三年の美濃渚です。皆さんと一緒に体育祭を成功させるため、一生懸命、頑張ります」
美濃君はかっこいい。
爽やか笑顔を乗せながら上手に印象を良くした。
まわりの女子達もうっとり。
よし、私の番だ。
「こんにちは。三年の木野川美波です。精一杯、みなさんと一緒に体育祭を盛り上げていきます」
あぁ……おどおどした感じの声になってしまった。
今回も失敗かなぁ……。
「……三年の東村悠です。よろしくお願いしまーす!!」
私の次の子が元気いっぱいに声をあげて自己紹介する。
明るくていい子だなと思いながら自己紹介した子をもう一度見る。
その子は茶髪のベリーショートで茶色の瞳、小柄な体型であるのに胸が結構、あった。
なんだか感じのよさそうな印象をその姿からまた読み取れる。
この人たちがこれから私と体育祭実行委員をやっていくんだなぁと改めてまわりをぐるっと見渡して思う。
頑張らないとな。
迷惑をおかけしないよう精一杯、やらないと。
「木野川?」
「え、何、美濃君?」
「……あ、何でもない」
周りからはぼっとしているように見えたと思う。
だから声を掛けてくれたのかなぁ。いい人っ。
第一回目の実行委員の集まる会は自己紹介とこの委員会の役目の説明だけで終わってしまった。
まぁ、まだ体育祭まで2か月もあるから大丈夫かなと思う。
「木野川」
実行委員会が終わった後、美濃君が声を掛けてくれた。
「何かな、美濃君?」
「ちょっと笑ってみて」
爽やか笑顔を見せながらいう。
たぶん、こうやってみてよと言いたいらしい。
ちょっと笑ってみる。
「こうかな。美濃君?」
あまり笑わない私の顔はひきつっていたと思う。
「……あ、うん。そうかな……」
ちょっと残念そうにしながらじゃあ、そんだけと言って私の横を通りすぎて行った。
「みーなみちゃん」
美波……。私の事かな。ちょっと声がした方を見てみる。
「……東村さん」
そこにいたのは東村悠だった。
スクールバックを右肩に下げ、カラフルなシュシュを左手に着けている。
「やだ。悠でいいよ」
「あ、うん……。じゃあ、悠ちゃん。何か用かな」
「一緒に帰らない?」
彼女から出た言葉は私にとって初めて言われた言葉だった。