ダーク・ファンタジー小説
- Re: このティッシュ水に流せます(ハートフルボッコ注意) ( No.36 )
- 日時: 2014/11/23 23:31
- 名前: 猫又 ◆yzzTEyIQ1. (ID: pnk09Ew0)
◇ 罪流し
「あfだskぁshflがklfはsh————ぁあぁ!!」
もはや獣の咆哮とすら間違われるほどの罵声を浴びせられながら、何度も何度も定規を体中に打ち付けられる。 せっかく整理していた本棚の本を投げ付けられる。
何年か前に怒られたこと。全くやってもいないこと。
挙句の果てにはもしかしたらやるかもしれない悪事まで責め立てられ、その度に服の上から重たい本で殴られる。……人の目には一切映らない部分に、アザが1つ、また1つと増えてゆく。
何か言えば怒鳴り返され、何も言わなければ「聞いているの?」と叩かれる。
そんな状況で1時間以上母親の説教という名の拷問を受け続けた美咲は、ただ力なくうなだれる謝罪人形と化していた。
「……ごめん、なざい……ごぇ、なざい」
乾いた傷口がかゆい。背中にあるアザが痛い。
そしてなにより母親の一向に収まることのない罵声によって、美咲は立ち上がることすらできなくなっていた。
そんな美咲に対し、母親は思いっきり髪を掴んで美咲の顔を引っ張り上げると、美咲の口の中に何かを突っ込みながら語りかけた。
「ごめんなさい、ごめんなさいって……あんた謝れば済むと思ってるの?」
母親の辛辣な言葉とともに、口の中でカチカチと何かがスライドしてゆく音が聞こえる。
カッターだ。
美咲はその特徴的な音を聞いて、すぐに母親が何をしているのかを悟った。
自分の口の中にカッターを突っ込み、口の粘膜に向かって刃を少しづつスライドしているのだ。
「あんたみたいな出来損ないがいくら口で謝罪したって耳障りなだけ。
謝罪には痛みを伴わないといけないの。……分かる?」
「がっ……ぁ……ぁがっ…ぁ」
刃の先端が口の粘膜に食い込み、刺さる。
その痛みに悶絶しながらも、ただ美咲は母親に許しを請う。
開きっぱなしの口で「おぇうぁあい……おぇぁああい」と謝り続ける。
すると、母親はため息を吐きながら美咲の口からカッターを抜いた。
「……はぁ。会話すらまともにできないんじゃ仕方ないわね」
どうやらこれ以上続けても無駄だと判断したらしい。
「今度勝手に家を抜け出すような愚行をしたら、刺したまま引き抜くからね……?」と脅し文句を囁いたあと、
母親は壊れてしまった美咲をそのまま床に横たえた。