ダーク・ファンタジー小説
- Re: このティッシュ水に流せます(ハートフルボッコ注意) ( No.69 )
- 日時: 2015/01/04 09:49
- 名前: 猫又 ◆yzzTEyIQ1. (ID: eWyMq8UN)
青いあざ。
それが腕先や足先にあるのならまだ美咲にも理解できる。
しかし白い肌に赤色と青色の絵の具を溶かしたようなそれは、母親の脇腹辺りにあった。
普通なら腕や手に守られ、めったに傷付かない脇腹に……。
さらにそれだけではない。
見えるだけでも数ヶ所、上腹部から下腹部まで母親の腹のいたるところが赤く腫れ上がっていた。
「何でそんな……」
おぞましい傷が、と続けようとする美咲。が、しかし——
「……ぁ?」
その瞬間。
「ぁ……ぁあ、ああああ!!」
母親はまるで何かのネジが飛んだかのように
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
——ぶっ壊れた。
「————」
もはや言葉を発する余裕すら無かった。
その光景を見た美咲は反射的に立ち上がり、考える暇なく追ってくるバケモノから逃げた。
狭かったはずの部屋を駆け抜け、やっとのことでクローゼットまで行くと追ってくる母親めがけて思いっきり扉を開く。
「かぁ……ッ」
美咲を追うことしか頭になかった母親は突然美咲を守るようにして現れたクローゼットの扉に対応できずに顔面から衝突する。
その間に美咲はクローゼットからあのティッシュを上着ごと引っぱり出し、悶絶する母親を無視して部屋の扉を開け、廊下に出た。
「……と、ととっ」
勢い任せに飛び出したので一瞬廊下のフローリングに足を取られるも、どうにか方向転換し、そのまま部屋の隣にあるトイレのドアノブを掴む。
それ同時に美咲の部屋から母親が這い出て来た。
さっきの衝撃のせいなのか、まともに立てないらしい母親が、それでも美咲を逃がすまいと地面を這って追いかけて来たのだ。
身の毛もよだつその光景に、美咲は顔を歪めながら自分の身体と持ってきた上着をトイレの中へとねじ込む。
その後すぐに起き上がり、母親がドアノブに手をかけるギリギリのところでトイレの鍵を閉めることに成功した。