ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[コメント欲しい。] ( No.28 )
- 日時: 2014/10/27 01:27
- 名前: 穂逆 深去 (ID: V70KaHly)
少女目線戻ります。
(あぁ…………恥ずかしい。あんなの告白のようじゃないか)
ビリーブは、トイレにいくと言って、出て行った彼に心底感謝した。
(でも、本当だもの。私が彼に救ってもらったのは)
ビリーブは彼を初めて見た日を思い出した。
ショックから立ち直れないまま10歳になった私は、生きる屍のようにこの山で過ごした。
その頃だった。当時10歳の彼がこの山へ来たのは。
最初は、この山へやってきた彼を私は軽蔑していた。
顔を隠す大きな布。
きらきらした銀色の髪。
そして、人に向ける貼りついたような笑顔。
そのすべてが憎らしかった。
ある日私は彼にある悪戯をした。
彼がいつも付けている布を隠したの
。
貼りついたような笑顔を捨て、汗だくで布を探す彼を見て、木の上から嘲笑った。
その時、森の奥でガサゴソと音がした。
オオカミだった。
助けてやろうとも考えたが、私は何もしなかった。
私がいっても、何も変わりはしないし、いっそ襲われてしまえと思った。
そして彼の顔を見て、ある違和感を感じた。
彼の顔は、恐怖に包まれていたが、それはオオカミに、というより…………
自分に感じてるように思えた。
そのとき、私は彼の眼をやっと直視したのだった。
引き込まれるかと思った。
その夕焼けの色のような瞳に。
この世の絶望を見たような荒んだ眼に。
その時になって、やっと気付いた。
彼が私が思っていたような幸せで何も知らない少年じゃなく、私と同じような、いやそれ以上の絶望をみてきた事に。
その後の光景は凄まじかった。
彼の目の前にでたオオカミは一瞬で消され、塵一つ残らなかった。
彼が、彼の眼が破壊したのだと分かった。
酷い後悔と共に、私の中に使命感のような物が生まれた。
彼を守る、支えよう、そう誓った。
なんだかんだいって、最初から私は彼が好きだったのかもしれない。
今ではそう、思う。
そこから5年間私は彼を見守り続けた。死のうとなんか思わなかった。
恋、愛は不思議だ。
人をここまで変えさせる。
(んふふ……………)
私がそうにやついていると、彼がふらつきながら、ドアを開けた。
「だ、大丈夫ですか!?」
私の問いに対して苦しげに彼は言った。
「[僕]……から、に、げ、て」
その言葉と同時に私は彼に押し倒された。
次回、ちょっとカイ君のキャラ崩壊するかも。(あってないようなキャラだけども)