ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.33 )
日時: 2014/11/02 22:55
名前: 穂逆 深去 (ID: V70KaHly)

一、二時間程たっただろうか。
カイ君は、突然泣きやむと、いそいそと動き始めた。
嫌な予感がした。
「カイ君………?何してるの……?」
私の問いに対し彼は、当たり前のように答えた。
「勿論、出ていく準備だよ。この家は、元々ただの空き家で僕の家ではないし、………この家は君が使えばいい。」

嫌だ。寂しい。置いてかないで。
そう思っているのに声が出ない。
彼がドアノブに、手を掛けた。

「さようなら、ビリーブ。やはり僕は、こんな町に近い山にいるべきじゃなかったみたいだ。そうだったら」
彼は、そこで間を置き、吐き出すようにこういった。


「………修復の力を持つ、君を傷つける事も無かったんだ。」


「修復の力を持ってとしても、人が傷つくんだったら………僕の[破壊]は、いや………僕自身が…………、」
彼はそこで、こちらを向いて笑った。
「……………この世界にいるべきではないんだろうね。」


ドアが閉まる。


「………カイ………君」


「………行っちゃ嫌だ…………よ。」


答える人は、もう、いない。