ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.44 )
日時: 2014/11/18 02:10
名前: 穂逆 深去 (ID: V70KaHly)

汚れて、汚れて、
[ホントウノジブン]から目を逸らし続けて。
それでもただ淡々と生きていた
ある日の事

「皆さん、今日からこのクラスに新しい神の子が入ります」
そう言われて教室に入ってきたソイツは実に奇妙な格好をしていた。

後ろに長く纏めた銀の髪。
顔に付けた獣の面。
大きくゆったりとした布で出来た服。
全てが異質そのものだった。

「……………一縷です。宜しく」

面越しのくぐもった声が可笑しくて、思わず笑ってしまった。


勉学の時間が終わり、
俺は一縷に声を掛けた。

「ねぇ、君。一縷君だっけ。………何神なのさ、君って。
あっ、私の名前はね」

俺が話している最中だった。
一縷は、椅子から立ち上がると冷たくこう言った。

「………悪いけど。」

「僕、一人でいたいから話しかけないでくれる?
[宜しく]っていうのは、あくまでも建前だから。
………そんな事も分からないとか、君達本当にカミサマ?…それとさ」

といって、俺の方を指さした。

「君、そのクセ直した方がいいよ。………すぐに疑うクセ」

最後の部分は俺だけに聞こえるように小声で言った。

彼が、そういって教室から出て行った後、

「何なんですか!あの神は、
リズ様に向かってなんたる暴言!!
………あれ…リズ様?なんで笑ってるんですか?」

「いや、面白くてさ…‥。」

教室はざわめいていたがどうでも良かった。

(一縷………面白い奴だな……)

あいつは俺の本心を見抜いている。
あいつはちゃんと[俺]を見てくれた。

一縷の鋭い言葉は、俺の嘘で固まった心をも、削りとったようだった。