ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.60 )
日時: 2015/01/18 06:24
名前: 穂逆 深去 (ID: A6DUXQK.)

「………フフッ、ご馳走さま★
ビリーブちゃん」

余裕綽々な”破壊”に対照して、ビリーブはなんか、もう、放心状態だった。

「………カイ君とキス、しかもベロチュー、
あうあわわわ……………!」

「……その様子だと、初めてだったぽい?
…”アイツ”も”俺”なんだから、この位の事、出来るハズなんだけどな……」

そう言うと、”彼”はまた寂しそうな顔をして、


「……好きな子にアタックも出来ないなんて………
全く”アイツ”も”変わらない”……」



未だに放心状態の彼女に対して、
”彼”は、玄関ドアに手を掛け、こう言った。


「………バイバイ、ビリーブちゃん。
”俺”だって、アンタらには幸せになって欲しいんだ……」


そういって、ドアを閉めた。


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「”お帰り、×××。言いたい事はいえた?”」

山の中心部まで、歩いてきた”破壊”に、
長い金髪を後ろに束ねた笑顔の青年が木の上から声を掛ける。

「………まぁね」

その問いに木の上を向き、無愛想に答える”破壊”。

「”えー、そのわりには、7割がた、嘘しかいってなかったじゃん”」

「分かってんなら、聞かないで欲しい。
………っていうか、その笑顔と、喋り方、なんとかならない?
怖いんだけど」

青年は表情を変えずに笑顔のままで答える。

「”これは、こういう”呪い”だからね。どうしようも出来ないよ”」

「…………」

「”あ、でも×××がチューしてくれたら解けるかも”」

「その、嘘吐きもどうにかしてくれ」

青年は、これも呪いだもん、と変わらず笑った。

「”……ふふ、何はともあれ計画は失敗した。
俺が出ないといけない訳だね”」

「……すまない」

「”いいの、いいの。元々こうなる事は分かってたしさ。
君はカイの中で、引き続き観察しといてよ”」

「……分かった。お前に従う」


”破壊”が帰った後、金髪の青年は笑顔のまま呟いた。

「”絶対に助けるよ、×××。
俺の全てを犠牲にしてでも”」

そんな無機質で響かない誓いが、
森の中でひっそりと聞こえた。