ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.63 )
日時: 2015/01/23 02:18
名前: 穂逆 深去 (ID: TQ0p.V5X)

「こんなにも、世間体と階級を気にする世界なんて
いっそ消えてしまえばいいよ」

一縷は、少し憤りを感じた声でそう言った。

「俺も………そう思うよ」

でも

「そんな世界を作り上げたのは俺の親父なんだよな。
……そして俺もそれに流されて生きている。
こんな世界を変えられるのは、キミみたいな奴なんだろうね」

俺が苦笑いでそう言うと、一縷は怒ったように声を荒げた。


「それは、違う!!」

一縷は、面越しでも分かるくらいの気迫で叫んだ。

「僕には世界を”変えられない”!!
”壊す”ことしか出来ないんだよ!!
原型を留めないくらい、跡形もなく!!」

そして少し落ち着きを取り戻した声で、俺に言った。

「キミなんだよ、多分。こんな世界を正せるのは。
今はその準備期間なんだ。
うん、だから……その」


「そんな死にそうな顔、するなよ」


一縷はごもりながら小さな声で呟いた。

「……え?」


俺、そんな死にそうな顔、してたか?

別に、死にたくなんて

あ、そうか

俺は



死にたかったのか



誰かに

こんな自分を

殺して、欲しくて


「は、はははは」

「おい、どうした?」

一番の望みがそれ、か。

「世界、変えたいよなぁ。自分自身のも」


××××くせに。


馬鹿だなぁ、俺。