ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[参照800突破ありがとうございます] ( No.79 )
- 日時: 2015/03/23 00:56
- 名前: 穂逆 深去 (ID: BzoWjzxG)
「で、でも……、さっきキボウさん
生まれた直後に自分は死んだ、”今の俺”は戸籍に存在してさえいない、っていいましたよね?
なのに、一縷に破壊されたって……」
俺がそう聞くと、キボウは目を見開いて俺を見た。
何かおかしかっただろうか?
「え、と……破壊の衝動がそう言ったの?」
「……多分」
それを聞いてキボウは大きな溜め息をついた。
「……間違ってはないのだけど、ちょっと説明が雑過ぎるよね」
「じゃあ、あの時にはもう、キボウさんは破壊の衝動に飲み込まれて…………」
「ブツブツ……ったく、言語感覚が人に関わらなさすぎて、
鈍ってきてんのか、”アレ”は……ブツブツ」
「………………」
どうやら、キボウは素の自分は隠すタイプであるらしく、小さく呟かれたその暴言には、先程までの紳士的な態度が微塵も感じられなかった。
なんだか、自分と似ているなと思い、俺と正反対な一縷を思い出し
兄弟なのに似ていないなぁと、物思いに耽った。
しかしこの考えは、間違っていた。
なぜなら
「コホン、……とりあえず俺の”本当の体”を見てみればなんとなく分かると思うよ」
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なぜなら
「これが、俺の”本当の体”だよ」
「………っはぁ!!?」
美しい銀髪。
繊細な白い肌。
何より一縷にそっくりな顔。
確かに二人は血の通った家族だ。
だが”紳士”的ではないし、兄弟でもないだろう。
キボウは、
「……”女性”だったんですか!?」
「まぁ、うん」
腰まである長い髪。
男にはない胸元の膨らみ。
それらが”彼”が”彼女”である事を堂々と証明していた。
「…そもそも、俺の名前は”キボウ”じゃなくて”ノゾミ”。
”希望”と書いて”ノゾミ”だよ。
勘違いしてた方が都合がよかったから否定はしなかったけどさ」
「…………」