PR
ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[参照800突破ありがとうございます] ( No.80 )
- 日時: 2015/03/28 01:40
- 名前: 穂逆 深去 (ID: BzoWjzxG)
「だから正しく言えば、女性である”俺”は生まれた瞬間になかった事にされて、女性である”俺”は戸籍にはいない、というべきなんだよ」
「はぁ。……でもなんでそんな誤魔化すような事をしたんですか?それに破壊されたって…あなたの体は現にここにあるじゃないですか」
まだ若干動揺が隠しきれてなかった気がするが、
俺はなんとかそう聞く事ができた。
「あぁ、それね………」
キボウーーいやノゾミは少し悲しそうに笑いながら答える。
「嫌な話だけどね……俺らの親は、一縷にこの家を継がせる事が不安だったんだ」
それを聞いて俺は、ああ、と納得した。一縷が破壊神である事も理由の一つなんだろうが、きっと……
「破壊神であるから、ってのもあるんだけど…
一縷って…”弱い”だろ。体じゃなくて、心が」
「はい……確かに」
隠しているようだったが、きっと一縷は弱い。
「一家の長ってそれなりに責任があるからさ…。俺達の親は、一縷に破壊神であるっていう大きな宿命の他に何も背負わせたくなかったんだろうね……」
「……だからですか?」
「…うん」
そう頷く姿もどこか物悲しい。
きっと……それは
「だから俺の両親は俺に”女性”である事を捨てさせたんだよ」
自分よりも一縷が優先された、という劣等感からきているのだろう。
それしかなかった。
一縷に家を継がせない為には。
”男性”しか継げないから。
きっと彼女はそれを誰よりも分かっていた。
だからこそ、悲しいのだろう。
だけど彼女は”強かった”。
強かったが故に、辛かった。
「俺がそこそこ大きくなったとき、両親は俺に全てを話してくれた。そして……たくさん、たくさん謝って」
そこで彼女は話を切り、俺の目を見た。
「その二年後、俺達の両親は一縷の”眼”によって破壊されたんだ」
PR