ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[参照800突破ありがとうございます] ( No.81 )
日時: 2015/04/01 08:14
名前: 穂逆 深去 (ID: BzoWjzxG)

「その時、一縷は五歳で、俺は七歳だったかな……。
遊びたい盛りだった一縷は、家の外へ一人で出てってしまって
…うちはなかなか名家だったからね。一縷は誘拐された」

俺も幼い頃から一人で外へ行く事がよくあったが、
実際に誘拐されたことはなかった。
全能神という強すぎる父故に、誘拐すること自体諦められていたのだろう。

「俺達一家は、一縷を助けるために誘拐犯の住処に突入した。
……でも意味なんてなかったよ。
そこには、泣き喚く一縷と、倒れて動かない誘拐犯しかいなかった」

「……もしかして」

一縷は破壊神であると、ノゾミは言った。
両親は一縷の眼によって破壊された、とも。
でも……俺が一縷の眼を見てもなんともならなかった…どういうことだ?

「いつもはリミッターが掛かってるんだよ」

ノゾミは俺が考えたことを、分かったようでそう、俺に説明した。

「リミッター?」

「そう、リミッター。一縷の眼には”精神破壊”の能力がある。だけど本当に精神を破壊するのは、その時みたいに理性がぶっ飛んでる時だけさ。けど……」

「けど……?」

「さすがに通常時でも眼を見た時の”記憶をなくす”くらいのショックは受ける筈なんだけどね…。何故だか君は何の影響も受けていないみたいだ」

その話を聞き、俺はラチの言っていた”顔を見た者が記憶喪失した”ことを思い出した。そして自分にそれが効かなかった事を考え、ノゾミにこう説明した。

「それは……俺が修復神で、一縷の破壊と対になる能力だからだと思います」

「修復神……全能神の息子くんだったんだ」

俺が、全能神の息子と知って態度が変わってしまう事を恐れていたが、
ノゾミは先程までと打って変わらずそう言った。
良かった。彼女も”俺自身”と接してくれる人物だ。