ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[参照900突破ありがとうございます] ( No.85 )
- 日時: 2015/04/07 02:12
- 名前: 穂逆 深去 (ID: Q9lf3bu6)
男性の方は、二十歳前後の細身の若者で長い金髪を後ろで括ってあり、服装を見ると素人目でも分かるような上質な布で出来たシャツを着ていた。
しかしそれを崩したように着ているので貴族のような鼻につく感じは一切ない。
女性の方は少しカールのかかった長い銀髪で、歳は金髪の青年と同じくらいに見える。ブラウスにフリルをあしらったふんわりとしたスカートを着ており、車椅子に乗っていた。
そんな二人の姿はまさに、令嬢と伯爵息子のお似合いカップルのようなのだが……………
顔に付けている仮面が、その品のよい感じをぶち壊していた。
何故狐の顔の仮面なんだ。
(…あれぇ、私こんな変わった感じの人達に会ったことあったっけぇ……)
本気でそのままドアを閉めて家に閉じこもりたくなったが、とりあえず用件を聞いてみる。
「あの……私に何か御用でしょうか?」
「”勿論だよ、ビリーブちゃん。
俺達はビリーブちゃんに話をしに来たんだから”」
(…なんで、この人達私の名前知ってるの)
どうしよう、本気で閉めたくなった。
というかなんだあの喋り方。
言ってる事に感情がこもってないというか……棒読みみたいだ。
「……えーと、相当怪しまれてるよね。お……”私”達」
「”大丈夫でしょ。”キボウ”の顔と、俺達の能力見せれば」
「そっかなぁ…。出来ればバラしたくないんだけど…仕方ない”ネ”」
怪しんでいる私に二人は、唐突にそんな事を言って
”仮面を外した”。
その顔ーー特に女性の方の顔を見て驚愕した。
何故ならその顔は
彼ーーカイにそっくりだったからだ。
しかしその瞳は彼とは違い、黒い。
これはむしろ……”アチラ”の人の方に似てはいないか?
ビリーブがそう訝しんでいると、彼女は苦笑いしながら、口を開いた。
実はビリーブの予測は、おおむね的中している。
「……嘘ついててゴメンね?”ビリーブちゃん”」
その口調には聞き覚えがあった。
しかしアレは彼のもう一つの人格……では……?
「……カイの”もう一つの人格”こと”破壊”こと”俺”だよ……まぁ”本名”は”キボウ”っていうんだけどネ……」
「え」
「……嘘ついてて、本当にゴメンね」
驚いた、なんてモノじゃない。
どういうことなんだ。
理解不能、だ。
「えええええええーーーーーーーーーっーーーーーー!!」
今世紀最大の叫び声を上げながら、情報を処理しきれなかった頭はショートし、私の意識は遠い彼方へと落っこちていった。