ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女[参照900突破ありがとうございます] ( No.86 )
- 日時: 2015/04/12 01:53
- 名前: 穂逆 深去 (ID: VNDTX321)
*****************************
「………んっ…」
「あ、起こした?ビリーブちゃん。
ごめんね、寝てたのに」
目を開けると、横で誰かが鍋で何かを煮込んでいた。
美味しそうな匂いがする。雑炊だろうか。
なんだかやけに、その”誰か”が小さく見えると思ったらその人は、車椅子に乗っていた。
車椅子に…………?
「………っ!?」
さっきまでのことを思い出して、急いで布団を被り後退ぐ。
そうだ……彼ーーいや彼女は、カイの破壊の人格で、それで………
「……なんで、ここにいるんですか。ていうか…そもそもあなた、本当になんなんですか」
キボウと名乗っていたという事は、カイの二重人格であるということは嘘なのだろう。
でも、だからといって、この女性の姿が本当の姿とも限らない。
一体………何なんだ。
「ん……やっぱ、そうなるよね。でも、そんなびびらなくてもいいよ。
この通り、”私”の体は不自由だから」
そう言って彼女は振り向き、頭を掻いて、こちらに寄った。
そしてコホンと一度咳き込み、しゃべり始める。
「とりあえず、説明させてもらうとね………。今、ビリーブちゃんが見ているこっちの姿が”私”の本当の姿。
カイの二重人格とか、殺したのは俺とかいうのは理由があって嘘を吐かせてもらってた」
「………」
「なんで人の体に入れるのかというと、それが”私”の能力だから。憑衣能力、ビリーブちゃんと同じ感じかな。
ちなみにさっきの金髪の彼も、能力を持っているよ。でも今は席を外してもらってる。女子だけで話したいこともあるしね……」
そこまで聞き、やっと落ち着いた。
とりあえず聞くべきは……。
「なんとなく…分かりました。それで、結局あなたは私に何をしにきたんですか?」
そう聞くと彼女は大きく息を吸ってこう言った。
それを、伝えるためにきたかのように。
「”私”は”私達”はね、救う為にやってきたんだ」
「……何をですか」
「君達二人を……そして」
「壊れてしまったこの世界を守るために」