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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.96 )
- 日時: 2015/05/22 03:10
- 名前: 穂逆 深去 (ID: Ue208N0d)
走って、走って、走って、走って。
息が止まりそうになって、
そこで俺はようやく足を止めた。
「お母さん……?」
自然と母のいる場所へ足が向かっていた。
不安で不安でたまらなくて。
母の顔を一目見たかった。
声だけじゃない、顔を見て、安心したかった。
自分を見てる人は”此処”にいると。
確かめたかった。
「お母さん、いるんでしょ…。顔を見せてよ。僕いい子にしてたよ」
「………………」
「お父さんと約束したんだ。いい子にしてたら、お母さんと暮らそう、って。顔くらい、いいでしょ……」
「…………………」
「返事くらい、してよ……!!」
そういって無造作にドアノブを回すとドアは思ったより簡単に開いた。
開いてしまった。
これからのことを考えたら、俺はこのまま進むべきではなかったのかもしれない。
薄々、気付いていたくせに。
部屋の奥にいたのは、母ではなかったのだから。
「お前、何………?」
「……申し訳ございません。リズ様」
そこにあったのはただの丸い機械だった。
「…私は人工知能AI。訳あって、あなたの母をしていました」
聞き慣れた母の声で、その機械はそう言った。
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