ダーク・ファンタジー小説

Re: 破壊ノ少年ト修復ノ少女 ( No.99 )
日時: 2015/07/17 23:38
名前: 穂逆 深去 (ID: qBHvelZ4)

軽い、腐、グロ、エロ表現あり
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(あの人が……………僕の”母さん”)

AIに案内された場所に着くと、そこには俺とよく似た顔をした金髪の女の人がいた。
傍らには、水色の髪をした俺よりも小さな少年がいる。

笑って、いる。

ドウシテ、アノ水色ハ愛サレル?
僕ハ
愛サレテ……イナイ。

胸がズキズキと痛み、下唇を噛む。
本気で、死にたくなった。

「もう帰りましょう、リズ様。顔色が悪いです」

AIにそう言われ、小さく頷く。
もう、限界だった。
そう帰ろうとしたとき。

「あれ、おかあさん。ものかげにだれかいるよ?」

水色が、不思議そうにそう言った。
逃げようとしたが、驚いて腰が抜けてしまい動けない。

「あら……?見てくるから、お前は先に家に戻っていなさい」

「はぁい」

足音がこちらに近づいてくる。
全身の震えが止まらない。

そこから先のことはあまり覚えていない。
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結局、彼が家に帰ってこられたのは一週間後だった。
見つかってすぐ、首を絞められた。
息ができず、意識が飛んだ。
気がつくと、暗い部屋の中にいた。
痛いなと思って腕を見ると太い釘が刺さっていて、自分が十字架につけられていると分かった。
そのまま三日間ほっとかれた。
四日目に部屋に煙が満ちてきた。
抗うこともできず、吸っていると体が痙攣し始めた。
そのまま二日間放置され終わったころには汗やら、涙やら、涎やらで酷い顔だった。
五日目、六日目には火に突っ込まれたり、獣に喰われたり、水に沈められた。
最後の七日には見知らぬ男共に、あそばれた。
顔も、耳も、口も、全身、全部。

そうして家から出された。
死ねず死ねず死ねず死ねず死ねず死ねず死ねず。
罵詈雑言を浴びせられた。

歩きながら、彼は全てを忘れた。
今までの自分、今までの価値観、今までの思い出、それら全てを。
忘れた”フリ”をした。
心の中に封じ込め、偽った。

腕に抱えられた丸い機械だけが、真実を知っていた。
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