ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』【参照200突破】 ( No.27 )
日時: 2012/06/27 19:59
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: Km711df.)
参照: 黎「今回は駄作者が短編小説を書いたよ」

参照200突破記念小説『これがいつもの朝』



「……………眠い」

 黎は布団の中で丸まって、渋面を作って呟いた。

「……………起きたくない」

 その瞬間、目覚まし時計が大音量で鳴る。
 黎は素早い動きでそれを止めようとした。しかし、なかなか止められない。なぜなら、布団の回りには数個の目覚まし時計が置かれているからだ。

「これか!」

 ようやく鳴っている目覚まし時計を探し当てた黎は良い感じで目が冴えていた。が、まだまだ眠い。

 黎は低血圧で、朝が苦手なのだ。

「 …はぁー。疲れたー」

 まだ起きたばかりだと言うのに、そんなことを口にしながら、パジャマから制服へと着替える。

「うぅ。眠い… 」

 寝ぼけなまこを擦りながら、洗面所に行って顔を洗う。

 冷たい水が顔を濡らして、気持ちが良い。

 黎はスクールバッグを持つと、部屋を出た。
 しかし、学校には向かわず、一階にある漆の部屋のドアをノックする。

「漆さーん」
「入れ」

 大きな欠伸をして、部屋へ入り、ソファの上で膝を抱えて座る。

「漆さん、眠いです」
「お前は毎朝そうだ」

 漆は黎の前に食パン一枚と煎り卵とベーコンとサラダがのった皿を置く。

 それを見た黎はぼんやりと呟く。
「今日の朝は洋風ですか」
「和風の方が良かったのか?」
 コーヒーを淹れながら漆が訊いてくる。

「どっちでも良いですよ」
 そう言う黎は目を閉じている。

「こら、寝るな。それと、行儀悪いから足下ろせ」
 ペシリと軽く黎の頭を叩いた漆は、彼の前にコーヒーが入ったマグカップを置く。

「ほら、食べろ」
「 …いただきまーす」

 黎はのろのろと食事をする。
 それを見た漆は、苦笑した。

「朝はいつもとろいな」

 しかし、黎は食べるのに没頭しているので、漆の話は聞いていない。

「 …あ、漆さん、プチトマトが入ってます」
 黎がサラダに入ったプチトマトをフォークに突き刺して言った。
「おれ、プチトマト嫌いなのに …… 」

 ぼんやりとプチトマトを見つめる黎に、漆は半眼になった。

「良いから、好き嫌いせずに食べなさい」
「……………はーい」

 黎はプチトマトを口へ運んだが、渋い表情をした。
「やっぱ、不味いっす」
「……………そうか」

 そうこうしているうちに、黎は昼食を全て食べきった。

「……………じゃ、二度寝しまーす」
 そう言ってソファに横になった黎の頭を漆は思いっきり叩く。

「こら! 学校、行け !!」
「 …はーい」

 半ば追い出されるように部屋を出た黎は、渋々ながらも学校へ向かって歩いていった。



 これがいつもの朝。