ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.29 )
日時: 2012/06/29 07:23
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: 7H/tVqhn)
参照: 目標達成できなさそう…。

No.13

 黎は今日も昼休みになると、さっさと月影冬夜のあとを追った。
 昨日と同じく中庭に行くのかと思ったが、今日は屋上へと行った。

 屋上に出ていって話でもするかなぁ、と考える。
 漆に、接触しても良いとも言われた。

 よし、行くぞ、と心を決めたとき、話し声が聞こえてきた。

「お前ら、マジうぜぇんだよ… !」

 黎は屋上のドアに手を掛けたまま固まった。
 これは、誰の声だろう。
 しかし、黎の超人的な記憶力はその声をしっかりと覚えている。

 ——月影冬夜。

 あいつだ。あいつの声だ。

 そう思っていると、何かを殴る音が聞こえた。ついでに「がは… !」という呻き声。

 おいおいおい、何やってんだよ。
 音からして、ケンカだよなぁ。

「てめぇ、何するんだよ!」
「それはこっちのセリフだよ !!」

 再び、何かを殴る、鈍い音。
 そして、どさりと倒れる音。

 黎は恐る恐る屋上を覗いた。

 すると、月影冬夜が倒れた二人の前に仁王立ちしていた。

「 …うわぁ」

 つまりは、月影冬夜が二人の生徒相手にケンカして、勝ったというわけか。

「強… 」

 思わず声に出すと、月影冬夜がこちらを見た。

「あ——っ!」

 月影冬夜は目を見開いた。

「……………あ」

 ヤバい。ヤバいぞ、この状況。

 冷や汗が流れ落ちるのが分かる。

 もしかして、これを見ちゃったおれも、やられたりして——。

 そんなことが脳裏をよぎった瞬間、月影冬夜は大声で言った。

「ここで見たことは誰にも言わないでください!」

 黎がいない方のドアから逃げようとした月影冬夜の腕を掴んで、引き留めた。

「ここで見たことは誰にも言わないよ。だから」

「 …——?」
 月影冬夜は不安げな表情でこちらを見てくる。

「ちょっと、話さない?」