ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.63 )
日時: 2012/07/17 17:15
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: 7H/tVqhn)
参照: 今回あんまり上手く書けなかったな。

No.31

「月影、冬夜——っ!」

 月影冬夜の姿を見つけた叢雲剣は、暫く彼の様子を伺っていた。

 チリン、と小さな鈴の音が聞こえたあと、月影冬夜はビルの中へ入っていった。

「月影冬夜——」
 そう言う叢雲剣の手には、不気味に光るナイフが握られている。

「殺してやる——!!」

 月影冬夜に向かって走り出した。

 その時、ビュンと風を裂く音がした。

 叢雲剣の目の前を何かが横切った。

「え……………?」

 すぐ目の前に、一筋の棒。

 叢雲剣がそろそろと右を見る。
 横にある壁に、一本の矢。

 続いて、左を見ると、弓矢を構えた男性が一人立っていた。

 その矢の先は、完全に叢雲剣に向いている。

「…お前——叢雲剣。何故、月影冬夜を殺そうとしている?」

 何故、自分の名前を知っているのか。
 もし、あの青年が手を離せば、矢は放たれ、自分の顔を射る。
 ——殺される。

「叢雲剣。もう一度、問う。何故、月影冬夜を殺そうとしている?」

「……あいつの、せいで、お…おれは、退学になったんだよ…!」
「…退学?」
 青年は弓矢を構えたまま、軽く目を見張った。

「…だから、だから、——復讐をしてやろうと思って…!」

 ビュンと風が唸り、矢が叢雲剣のすぐ横を通って壁に刺さった。

 青年は新たな矢を構え、言う。
「もう二度と人を殺すなど言うな。言えば、オレがお前を射る」

 つまりは、殺すと言うこと。

「……………っ——」
 叢雲剣は、恐怖で声が出なかった。

「とっとと帰れ。次、また殺すと言ったら、本当にお前を射るぞ」
 そう言って、青年は手を離した。

「オレはお前の全てを知っているんだよ。叢雲剣」

 矢は真っ直ぐに飛んで、叢雲剣の頭上の壁に突き刺さった。

「…あ…っ、うわあぁぁぁっ!!」
 叢雲剣は、その場から逃げるように去っていった。