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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.142 )
- 日時: 2012/08/07 18:36
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: bOX/HSBq)
- 参照: ユニバーサルスタジオジャパンなう!
No.12
ーーー
「今日から、よろしくね」
そう言って笑いかけてきた、男性と女性。
その人たちは優しくて。
慕っていた。
好き、だった。
だけど。
ある日、真っ赤に染まっていた。
全てが、真っ赤に染まった。
思い出は全て、赤い記憶に変わった。
ーーー
「…んー、嫌な夢見た——?」
黎は目を開けて、右手で前髪を掻き上げた。
嫌な夢を見ていた気がするが、それがどんなものだったのか思い出せない。
思い出したくないが、思い出せないのは気持ちが悪い。矛盾してる、と思う。
窓から朝日が差し込んできている。
今は何時だろう、と思い近くに置いてあった時計を手に取って見る。
朝の六時を過ぎたところだ。
「…早起きだなぁ」
溜め息をついて、仰向けに寝る。
セミが鳴いている。
どこかからは犬の鳴き声。
鳥の囀り。
たくさんの音。
「……ん———っ」
黎は横に寝返りをうって、口許を押さえた。
吐き気がする。
悪い夢を、見たからだろうか。
どんな夢だったかは分からないが、なんとなくは分かる。
多分、あの二人の夢だ。
「……あ———」
眦から涙がこぼれ落ちた。
黎は涙を拭うこともせずに目を閉じ、もう一度眠った。
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