ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.164 )
日時: 2012/08/14 19:41
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: uyKWZpxa)
参照: なんだかなー。ここに書くネタが無い\(^q^)/

No.19

「帰ってきましたよー。漆さーん」
 ドアをノックして言うと、中から「入れー」と声が聞こえてきた。

「…黒樹小枝について、何か分かったか?」
 黎が部屋に入るなり、漆が訊いてきた。

「……うーん、特には」
 そう言ってから「でも」と付け足した。
「漆さんが電話で教えてくれた弟君に会ってきましたよ」
「へぇ。それで?」
 漆は少し目を見開き、続きを促した。

「まぁ、黒樹小枝が自殺しようとしてるよ、って言ったら動揺してましたね。多分、自殺止めるのに協力してくれるかと」
「そうか」

 黎の言葉に漆は頷き、そして考えるように腕組みをした。その時。

「ただいまー!」
 勢い良くドアが開き、上弓が部屋へ入ってきた。

「元気ですね。彼女と仲直りしたんですか?」
 黎の半分呆れたような問い。

「え? まぁ、したけどね」
 そう答えて、顔を赤くした上弓を見て、黎は半眼になった。

「何ニヤニヤしてるんですか?」
「してないよ!」
「してますよ。何かしたんすか?」
「何が!」

 まぁ元気になって良かった、と思った黎はそこらへんでイジるのを止めておく。

「あ、それより、漆さん、聴いてくださいよ!」
 上弓の言葉に漆はきっぱりと言う。
「あぁ? 惚気話はお断り——」
「違いますよ!」

 「もう」と口を尖らす上弓。
 それを見た漆は、子供っぽいな、と心の中で思ったが、口に出したのは違う言葉だった。

「で、何だ?」
「あぁ、お墓で黒樹小枝見つけました」
「…墓で?」
 鸚鵡返しに言った漆に、上弓はこくりと頷いた。
「お墓です。黒樹小枝のお母さんの」
「……———」

 ひぐらしの声が遠くで聞こえる。

「…そう。やっぱ死んでたんだな」
 本の少しの沈黙を漆が破った。
「じゃあ、玄は母親、もう一回詳しく調べてみて」
「はぁい」

 「それから」と漆は黎を見た。

「黎は、黒樹草汰のこと任せた」
「了解です」