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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.169 )
- 日時: 2012/08/15 22:39
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: bOX/HSBq)
- 参照: ねぇ、皆!今日はカゲロウd((終戦記念日
No.20
「草汰、夕飯よ」
「……うん」
祖母の声に答え、黒樹草汰は椅子に座る。テーブルには夕食が並んでいる。
「いただきます」
手を合わせてそう言い、食事を始める。
ご飯を一口食べた黒樹草汰は、左に座って無言でご飯を食べている黒樹小枝を横目で見た。
「草汰、今日はどこに言ってたの?」
黒樹草汰の正面に座った老人が訊いてくる。
「公園」
「そう。何してたの?」
「……色々、ね」
老人は、黒樹草汰にしか話しかけない。まるで、黒樹小枝はいないかのように。
「草汰、おかわりいる?」
黒樹草汰の茶碗が空になったのを見て、老人が訊く。
「いらない」
そう答え、黒樹草汰は黒樹小枝をチラリと見た。黒樹小枝の茶碗も少し前に空になっていた。しかし、老人は何も言わなかった。
いや、見ていない。黒樹小枝はその老人の視界に入っていない。まるで、空気のような存在。
「ごちそうさま」
黒樹草汰が再び手を合わせて言うと、老人は「お風呂、入りなさい」と言ってきた。
「…お姉ちゃんが先に入りなよ」
「——え…うん」
黒樹小枝は少し驚いたように目を見開き、それから風呂へ向かった。
「……」
黒樹小枝が風呂へ入ったのを確認した黒樹草汰は、二階に上がり、そして、一つの部屋に入った。勉強机とベッドが置いてあるだけの、質素な部屋。そこが黒樹小枝の部屋だった。
その勉強机の上に置かれているスマートフォンを黒樹草汰は手にした。
そして。
「…これは———!」
黒樹草汰は目を見張った。
そこには、ゲートキーパー宛に送られたメールが映し出されていた。
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