ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.170 )
日時: 2012/08/16 11:48
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: xcAsoLj9)
参照: はっ、スランプ到来かもしれない!

No.21

 黎は、ぼんやりと空を眺めながらブランコをこいでいた。

「暑いなぁ…」

 太陽を遮る雲も無い。晴天だ。
 日焼けする、嫌だなぁ。などと、女子のようなことを考えていると、「おい」と声をかけられた。
 ブランコをとめ、そちらを見ると、黒樹草汰が立っていた。こちらを睨んでいる。

「おはよう」
 挨拶すると、黒樹草汰はそれを無視して言った。
「お前の言った通り、姉ちゃん、自殺しようとしてたよ」
「うん」

 黎はじっと黒樹草汰を見詰める。

「何でお前が知ってたんだよ。お前は…何者なんだよ」
「おれはね——」

 黎は立ち上がった。そして、ニッコリと笑った。

「君のお姉さんを助けてあげようと思って」
「……は——?」

 黒樹草汰は目を見開いた。

「だから、君のお姉さんのこと、色々と教えてよ」
 黎の言葉に、黒樹草汰は言い返した。
「何でだよ。何でお前がぼくのお姉ちゃん
を助けようとしてるんだよ」

 訝しげな表情で黎を見る黒樹草汰。それを見た黎は静かに口端を上げた。

「……別に、良いんだよ? 君のお姉さんが自殺したって、おれには関係無いから」
「……っ——」

 黒樹草汰はぎゅっと拳を握り締めた。

「だけど、君がお姉さんを助けたいと思うなら、黒樹小枝のことを教えてよ」
「………——」

 少しの間があった。

 セミが煩い。

「分かった」
 黒樹草汰が口を開いた。

「お姉ちゃんのことを、教える」
「……なら、早速——」
「ただ」
 黎の言葉を遮って、黒樹草汰はじっと黎を見詰めた。

「お姉ちゃんを絶対に助ける…って、約束してくれ」

 黎は軽く目を見開いた。
 そして、僅かに微笑んだ。

「もちろん。黒樹小枝は必ず助けるよ」