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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.183 )
- 日時: 2012/08/21 17:47
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: vVbLZcrS)
- 参照: 話の展開が。
No.26
「……漆さん、大丈夫ですかねぇ…」
漆の車の後部座席に座った黎が、黒樹小枝の家を見ながら呟いた。
「大丈夫だよ。漆さんだしね」
同じく漆の車の助手席に座った上弓がパソコンを触りながら答えた。
「……上弓さんは、何をやってるんですか?」
黎が体を乗り出し、パソコンの画面を覗く。
そこには、黒樹小枝が映っていた。画面の端には黒樹草汰の姿も映っている。テーブルに美味しそうな食べ物が置いてあるところから見ると、夕食中だったのかもしれない。
「漆さんのサングラスに小型カメラを付けといた」
ニッと笑って、得意げに上弓が言った。
「へーぇ…」
よく見ると、拳銃を黒樹小枝に突き付けているのが分かった。
「それにしても」
上弓が両手を上に上げ、伸びをした。しかし、この車は車高が低めなので、後ろに仰け反るような形になる。
「漆さんが行ってくれて良かったねー」
「そうですね。てか、漆さんじゃないと、おれと上弓さんじゃ顔バレてますもんね」
「だのに『私は嫌だ』とか言って、なかなか行こうとしなかったから困ったね」
「そうですね」
車の中は、パソコンの画面の中の緊迫した空気とは全く違う、呑気な雰囲気が流れていった。
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