ダーク・ファンタジー小説

Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.190 )
日時: 2012/08/23 19:13
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: bOX/HSBq)
参照: 第二章は三十話で終わらせようと思ってたけど、無理っぽいね。

No.27

「……何で、姉ちゃんを——」
 黒樹草汰は小さく訊いた。
 しかし、漆はそれを無視して、黒樹小枝に近付くと、彼女の腕を掴んだ。

「来い」
 黒樹小枝は大人しく漆のあとに付いていく。

「姉ちゃん、お前——」
 黒樹草汰が後ろで叫んだ。

 漆は振り返ると、黒樹小枝に銃を向けたまま言った。
「警察には言うなよ。言えば、こいつを殺す」
「な——っ…」
 黒樹草汰が愕然と目を見張る。
 それを見た漆は、しかしそのまま黒樹小枝を連れて、家を出た。
 そして、家の前に停まっている車の後部座席に黒樹小枝を乗せた。

「……あ——」
 黒樹小枝は、助手席に座っている人物を見て、小さく声をあげた。

「やっほー」
 一度だけ公園で黒樹小枝と話したことがある上弓は、親し気に笑いかけた。
 しかし、黒樹小枝は軽く上弓を睨んだだけだった。

 運転席に座った漆は、エンジンをかけ、車を走らせた。

 沈黙が流れる。

「……あの」
 数分続いた沈黙を破ったのは黒樹小枝だった。

「何?」
 上弓が振り向いて、黒樹小枝を見ながら訊いた。

「あなたたち、ゲートキーパー…ですよね?」
「そうだよ」
「…どこに行くんですか?」

 少しの間。

「——君が、最期に行きたい場所。どこに行きたい?」
 上弓が冷たい笑みを浮かべて訊くと、黒樹小枝は逡巡したのちに答えた。

「自殺出来る場所なら、どこでも」