ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自殺サイト『ゲートキーパー』 ( No.213 )
- 日時: 2012/08/31 20:52
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: Pc.bKmsa)
- 参照: ドキドキ( ゜∀゜ )
No.04
「……眠い」
小さく呟きながら、校門をくぐり昇降口へと向かう。
今日はたまたま早く目が覚めたから、授業が始まるまで時間がある。
ゆっくりと歩いて靴箱へ行き、上履きに履き替える。
その時、三森ほのかがやってきた。
「おはよー!」
相変わらずにこにこと笑っている彼女に「……おはよう」と小さく返して、黎は自分の教室へと向かう。
「あれ?」
後ろで、三森ほのかの声がした。
黎は気にも留めずに進んでいたが、次の言葉で思わず足を止めた。
「なんで下駄箱の中にハトさんの死骸があるんだろう?」
「……ハト?」
驚いて振り返ると、靴箱の前で、三森ほのかが首を傾げていた。
気になって、その靴箱の中を覗くと、上履きの上に鳩の死骸が一つ、置いてあった。ハエが二、三匹、飛び回っている。
黎が渋い表情になった時、三森ほのかがぽんと手を叩いた。
「あっ、分かった! ハトさん、誰かに埋めてもらいたくて、 死ぬ前に私の下駄箱に入ったのね」
「は……?」
黎はポカンと口を開けて三森ほのかを見詰めた。
「放課後埋めてあげよう!」
一人でそう言って納得した三森ほのかは、こくりと頷いて、鳩の下にある上履きを取った。
黎はそれを見て、半眼になった。
そして、もう一度靴箱の中を見た。やはり鳩の死骸がある。
——これは、虐めではないのか?
昨日、涙湖麗を虐めてる奴等に話しかけられてたし。
そう思った黎だが、当の本人である三森ほのかはまったく気にしていない——と言うよりは、虐めということに気付いていない様子だ。
「……んー、でもハエさんが飛んでるなぁ。どうしよう?」
スニーカーを靴箱に入れ、その上にハトを置いた三森ほのかは首を傾げた。
「……」
「殺虫剤無いしな……あ、虫除けスプレーで良っか!」
そう言うと、スクールバッグを探り、虫除けスプレーを取り出した。
「ハエさん、どっかに飛んでけー」
プシューッと音を立てて、虫除けスプレーを靴箱の中に吹き付ける。
「よし、これで良いや!」
ハエがどこかへ飛んでいったのを見た三森ほのかは満足げに頷いた。
「じゃあ、放課後まで待っててね、ハトさん」
三森ほのかはそう言うと、靴箱を閉め、教室へと歩いていった。
それを一部始終見ていた黎は、「……何だよ、あいつ」と半眼で呟いた。