ダーク・ファンタジー小説
- Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.34 )
- 日時: 2015/01/28 20:04
- 名前: riyal (ID: zjy96Vq7)
第10話 南・ミナミ
走りながらGPSを確認する。
倉庫?廃屋?
なんて想像していたというのに、そこは意外な所だった。
「ここ…か、うん」
目の前にあったのは洞窟。
ここの奥にいるらしい。
走る、走る、走る…
「…ゃ…ぃ…ぁ」
男の声がしてくる。でもサンじゃない。
徐々に、はっきりと。
「だから…みな…ま…めい…だ…ただろう」
声自体はかなり聞こえる。
あれ?クラスメートって言ってたっけ?
サンと同い年の割には声が野太いが…
「だか…れが…たち…わ…くな…」
なんて言ってんだ?
まだこの距離じゃ…
…もうちょっと。
「なん…かい…よ、ち…めが」
段々聞こえてくる。
もうすぐか。
「だから早く何か言えって!」
あぁ…いつものパターンだ。
もうそこに姿は見えている。
軽く息を整え、さて…
殺りに行こうか?
『あらら?なーにやってんのかなぁ?』
「あ?」
いつも通りだ。
男が反応し、こちらを向い-----
-----え?
クラスメート?
この筋肉質な背の高い男が?
「…あんた、誰なの」
奥の方から違う声がした。
- Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.35 )
- 日時: 2016/02/14 00:18
- 名前: riyal (ID: bUOIFFcu)
第11話 可愛くない
「南様…!危ないですよ」
「うるさい黙ってな。で、あんた誰?私は南よ」
南と名乗ったその女の子。
奥から出てきながら話しかけてくる。
こっちがクラスメート?なら納得なんだけど。
『誰と言われるとねぇ…さぁ?』
実際、殺し屋なんてやってるんだから、本名を迂闊にバラすことはできない。
「誰かって聞いてんのに。答えろよ」
『答えられないから答えないんだけども』
「自分の名前もわからないバカなの?」
『ま、それでもいいよ?』
「あっそ」
あたしの態度が気に入らないんだかなんなんだか、なんとなく態度がつんけんしてる。可愛くない。
可愛くないとかあたしが言えたことじゃないかもしれないが。
いや勿論、態度が可愛くないだけで、容姿は可愛いんだけど。お嬢様かな。お嬢様だろうな。
「んで、何の用よ」
『よくぞ聞いてくれました!』
「は?」
『まずはそっちのからだね』
言うが早いか、ナイフを筋肉男の心臓のあたりに投げ込み、殺す。
何を言う間も無く、男は殺された。そのまま仰向けに倒れる。心臓に直撃したらしい。
投げナイフって、ダーツみたいで綺麗だよね。
そんなこと思うあたしこそ可愛くないのかもしれない。
そして、振り返った
…時には、もう南の姿は洞窟の外にあった。
- Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.36 )
- 日時: 2016/02/14 00:21
- 名前: riyal (ID: bUOIFFcu)
第12話 GPSチップ
『ちょ、待っ!』
洞窟の先まで走って追いかける。
意外に足速い。足が長いからか?
完全に逃げられる前に...アレつけとかなきゃ。
『...っ』
無事につけられたものの、逃げ足が速い。
追いかければ捕まえられなくもない距離だが、サンが先だ。
引き返してサンのもとに駆け寄る。
「ルキちゃん」
『ごめん、遅れたね』
「え?ううん全然...それより」
『ん?何?』
「捕まえなくてよかったの?」
『サンの方が大事だもん。...それに』
ちらりとポケットに入ったスマホを見やる。
『あいつの居場所、すぐわかるようにしといたから』
さっきGPSチップをつけたのだ。
家の場所を探し、生活を観察し、着実に殺ってやろう。
格好からして金持ちっぽいし、ハルレも誘おうかな...
「ルキちゃん...この人は?」
『ん?あぁ...ま、大丈夫。誰かが片付けといてくれる!』
「大丈夫なのかな...」
サンに苦笑されてしまった。
『さて!帰りますかぁ』
「あ、うん」
なんて言って振り返ったら___
___ハルレがいた。
あたしと目が合うや否や、がばっと抱き着かれる。
『え!?ハルレ!?』
「出て行く寸前にGPSチップつけといたんですよ」
『えぇぇ...』
「もう!勝手に飛び出してくなんてっ」
『ごめんごめん〜』
「こんな遠いところに来るとか、どうかしてますよ!」
『だってサンのためだし』
「サンって...あ」
そこでハルレがサンに気づいた。
多分、会うのは初めてだろう。
「へー...」
まじまじとサンを見つめるハルレ。
その表情は、何故か、なんとも微妙なものだった。