ダーク・ファンタジー小説
- Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.38 )
- 日時: 2016/02/14 00:26
- 名前: riyal (ID: bUOIFFcu)
カコバナシ-1 ハルレ
憎しみは転じて
「…姉ちゃん…お腹すいた」
「ちょっと待ってて、すぐ作っちゃうから」
これで3日だろうか。
何も食べていない。
辛うじて今日は、さっき八百屋でくすねてきた野菜なんかを使って料理したりできる。…が、そうやって生き延びられるのはあとどれくらいなのだろう。
既に離婚している母と父には、捨てられた。
弟1人を残して、兄や姉は母や父についていった。
そいつらは今でも金持ちなんだろう。実際、父と母がいた頃はすごく裕福だった。でも、捨てられた。
理由は明確。
ただ単に、病気の弟が邪魔だったからだ。
弟の病気は、黙っていれば知られないほど見た目には何も表れない。家でゆっくりしている分には、何も差し支えない。
不定期に吐血する以外は。
よくわからないが、少し運動をしたりだとか、なにか衝撃を食らったりだとか、そういうことですぐに吐血してしまう。
だから体育の時間はいつも休んでいて、休み時間はいつも読書しかできなくて、すると周りの人は結構気を使わなきゃいけなかったりして、そんなんだから友達も段々いなくなっていって。
気づけば家族さえいなくなっていった。
気を使うのが面倒だ。理由はそれだけ。
普通に過ごす分にも衝撃を与えちゃいけないとか、気を使う。そんな存在が、邪魔だっただけ。
「出来たよ、__×××__」
そんな弟を見捨てず、家族を失うことさえ構わずに、私は弟と共に辛うじて生きていた。
病気だから捨てるなんて、そんなの間違ってる。
綺麗事かもしれないけど、私が弟を見捨てなかった理由だって、そんな単純なことだ。
ただ、自分の中の正義に問いかけて、間違ってると判断しただけだ。
それだけのこと。
理由は全て単純なのに、その所為でこんなにも苦しい。
「ありがと…姉ちゃん」
弟がすっかり痩せた腕を伸ばしたその時だった。
((ガンッ!!))
立派なはずのドアが蹴破られたような音がしたのは。