ダーク・ファンタジー小説

Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.61 )
日時: 2016/02/14 15:35
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

第19話 複雑

あの後。
サンと別れ、洞窟から出たあの後。
ハルレは、すっと俯いたままだった。

『…ハルレぇ』
「何ですか…」
『仕方ないじゃん、ハルレの都合もあるしさ』
「そうですけど…サンからしたら捨てられたも同然ですから…」
『じゃあサンを選べば良かったじゃん?』
「そうですけど…!」

そうだけど、そういうことじゃない。
言いたいことはわかる。

『…メリット、デメリットって言ったけど、あたしといるメリットって何さ?』
「盗むのに効率がいいです。効率が良ければ収入が上がり、
収入が上がれば安定する」
『それならサンといても同じじゃない?』
「サンと一緒に住むなら、ルキちゃんと一緒にいられないじゃないですか」
『それの何処がダメなの?』
「…はぁ」

何だか深くため息をつかれてしまった。…何だろ?

「とにかく…私はルキちゃんと一緒にいる方がいいって、自分で判断したんです。今更、覆しはしません」
『…あ、そう』

そうこうしているうちに、ホテルまで辿り着く。
たったの1時間くらいしか経ってないのに、酷くたくさんの時間が流れたように感じた。

『はぁ、疲れた』
「ただいま帰りました」
「ん、おかえり」

ウキはすぐにハルレの異変に気付いたらしい。

「…ハルレ?だっけ。どうしたの?」
「はい?」
「なんか元気ないよ?」
「……結構遠くまでルキちゃんが行っていたので、疲れたんです」
『ちょっと、酷いなぁ』

ハルレが上手く誤魔化したんで、それに合わせることにする。
ばふっ、とベッドにダイブしつつ、タブレット端末を起動した。

『あ〜、ミナミって言ったっけ…』

画面に映るのは、ミナミであろう人間の居場所。
ひとつの建物の中で止まって動かないから、家ここだろうな。盗聴器と盗撮器仕掛けて見張ってやる。

「ミナミって誰?どうした?」
『ううん、何でも』

ちゃちゃっと仕事終わらしちゃおう、と考えているあたしは、ウキにも何も言わないことにした。

…サンを苦しめる人間は許さない。
ハルレの場合は、なんとも言えないけど。
サンが苦しんでいるなら、いつでも飛んで行って、苦しみの元凶を撲滅してやる。

それが、あたしにできる、サンへの恩返しだから。