ダーク・ファンタジー小説

Re: 嫌いだ【オリキャラ募集中】 ( No.85 )
日時: 2015/08/20 11:01
名前: riyal (ID: bUOIFFcu)

第37話 守る方法

「どうしたの?」

ファルルちゃんが不思議そうに訊いてきた。携帯を振って、電話だと教える。

《もしもしサン?》
「…え…ルキちゃん…?」
《その通り〜》

ルキちゃんからの電話だ。
ルキちゃんの名を呟いたことと関係があるのかないのかはわからない。
電話口の向こうからは能天気な声が聞こえてくる。

《いやー、あの後どうしたの?ちゃんと家帰った?サンのことだからどこかふらふらしてまた倒れたりとかしてない?大丈夫?》
「…大丈夫だよ」
《本当に?》
「うん」

本当はファルルちゃんに助けてもらわなかったらずっと彷徨ってたかもしれないけど。

《あ、それでね、ミナミ?とかいう奴、殺っといた》
「やっといたって…殺したってこと?」
《うん、そう》
「何で…」
《え?何でって、

サンを傷つける人間はあたしが殺ってあげるって、いつも言ってるじゃん》

「…そっか」
《うん。だから今回も、サンのために消しといたっ》
「…そっか」
《学校に行ったら、それこそ実感湧くと思うけど》
「…そっか」
《じゃあねサン。また何かあったら呼んでね?》

プツッ。
ツー、ツー、ツー…

…ルキちゃんは、ズレてる。
全力でボクを守ってくれる、でも、その手段は 殺し 。

どうしてかはわからない。
ルキちゃんほどに強い人なら、わざわざ殺さなくたってもっと他に方法はあるはずなのに。

ルキちゃんは…美しく殺すことに執着する。

誰かを守るために、誰かを犠牲にすることはあるんだと思うけど、何も殺すまでいかなくても…といつも思うのだ。

どうしてルキちゃんは、殺してしまうんだろう…。

「…サンくん?」
「…?」

ファルルちゃんに声をかけられ、振り向いた。
が、ファルルちゃんの表情を見て…目を逸らしたくなった。

「どうして…喋ってるの?」

それは。

信頼していた人に裏切られたかのような。
憎悪と怒りの顔だった。

「どうしてよ…」