ダーク・ファンタジー小説
- Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.92 )
- 日時: 2016/03/03 10:54
- 名前: riyal (ID: bUOIFFcu)
第42話 相変わらず打って変わって美しい
アホらしくてバカらしい、そしてルキちゃんらしい依頼内容だった。
《サンがピンチみたいだけど、あたしの位置からじゃ遠くて間に合わない。亜樹、近くにサンがいるから向かって、お願いっ!場所は添付します。
あと、そいつのこと、間違っても殺さないで。あたしがとどめを刺したい。亜樹ならわかってくれるでしょ?
サンを傷付けた奴は、あたしが処理しないと気が済まない》
言われなくたってそうするよ。
わたしがとどめなんか刺したら、ルキちゃんには殺されちゃいそうだからね。
「うぁぁぁっ!」
「く…なかなかやるじゃん」
重たい相手のナイフが自身の得物であるナイフを沈ませる。どうしてなかなか、こいつの戦闘能力は高かった。
…これは、楽しめそうだね?
「本気出すか」
思わずニヤッと口角が上がる。
殺さないとは言ったけど、少し楽しむくらいならいいだろう?
そしてナイフで斬撃してやろうと思った、その瞬間。
『本気出したら駄目に決まってるでしょーがっ!』
凄い勢いでわたしと相手の間に割り込む影がひとつ。勢いだけで相手を吹っ飛ばした上に、わたしのことも少し後方に飛ばした。
言わずもがな、ルキちゃんだ。
『ちゃんとメール読んだのかなー、亜樹!?本気出すってそれ殺っちゃうって意味じゃん!?駄目ダメ、あたしが殺るんだから!』
異様なハイテンションで一気にまくし立てる、ルキちゃん。…わたしが勢い余って殺すかもと思って焦ったからか?
「本気出すのと殺るのとは違う。わたしはその区別はつけられる、ルキちゃんとは違って」
『な、なにー!?それじゃあたしが分別が無いみたいじゃん!?』
いや、実際分別は無いと思うけど…。娼婦もサラリーマンもニートも関係なく殺すし、ルキちゃん。
『…ま、結果的には残しといてくれたみたいだし、これ以上文句は言わないけどね!じゃあ、そろそろ本題に移りますか?…そろそろ起き上がるだろうしさ』
吹っ飛ばした相手が少しずつ体制を整えるのを確認し、ルキちゃんは先ほどのわたしのように口角を上げた。
『美しいショータイム、始めようか?』
…相変わらずだな。
ちょっと久しぶりに会ったけど、そういうとこは全然変わらない。相変わらず殺すことに全力で、相変わらずテンション高くて、相変わらず美しい殺戮に重点を置く。ほんと、相変わらず。
でも、変わったとこと言えばーーー
『ああ、亜樹、ついでみたいで悪いんだけど、サンお願いできるかな?』
ーーーこれか。